等外米とは?日本酒との意外な関係

等外米とは?日本酒との意外な関係

お酒を知りたい

先生、『等外米』って、お酒を作るのによく使われるって聞きました。どういうお米なんですか?

お酒のプロ

いい質問だね。等外米とは、お米の検査で、国が決めた基準に満たなかったお米のことだよ。形が崩れていたり、色が悪かったりするんだ。だから『屑米』とか『砕米』とも呼ばれるんだよ。

お酒を知りたい

なるほど。じゃあ、食べられないお米なんですか?

お酒のプロ

いや、食べられることもあるよ。ただ、見た目や食感が劣る場合が多いんだ。だから、食用としては価格が安く、お酒の原料として使われることが多いんだよ。

等外米とは。

お米に関する言葉で『等外米』というものがあります。これは、農産物検査法という法律に基づく検査で、一番下のランクに分類されたお米のことです。政府が管理する対象にはならず、一般的には『くず米』とか『砕米』などと呼ばれています。

等外米とは何か

等外米とは何か

『等外米』とは、収穫されたお米のうち、国の検査基準に満たなかったお米のことです。お米の検査は『農産物検査法』という法律に基づいて行われ、お米の品質を等級で分類しています。よく耳にする『一等米』や『二等米』といった等級のお米は、この検査基準をクリアしたものです。しかし、基準を満たさないお米が出てしまうのも事実です。形が不揃いだったり、粒が割れていたり、色が悪かったりといった理由で、検査基準を満たせないのです。このようなお米は『等外米』に分類され、一般的には『屑米(くずまい)』や『砕米(さいまい)』などと呼ばれています。

等外米は、一等米や二等米のように国が買い上げる対象にはなりません。そのため、市場に出回ることも少なく、価格も安価に設定されていることが多いです。しかし、だからといって等外米は食べられないわけではありません。精米の過程で出た小さな欠け米や、収穫時に多少色が変わってしまったお米なども含まれるため、味や栄養価が大きく劣るわけではないのです。むしろ、用途によっては一等米や二等米と変わらない価値を持つ場合もあります。

特に日本酒造りにおいては、等外米は重要な役割を担っています。日本酒の原料となる米は、蒸した後に麹菌や酵母を加えて発酵させます。このとき、粒が大きい一等米だと中心部まで均一に蒸すのが難しく、良質な麹や醪(もろみ)を作るのが困難になります。一方、等外米は粒が小さいため均一に蒸しやすく、また、精米の際に削り落とす部分が少ないため、雑味のないすっきりとした味わいの日本酒に仕上がるのです。このように、等外米は食卓に並ぶことは少ないかもしれませんが、私たちの食生活を支える上で、なくてはならない存在といえるでしょう。

項目 内容
定義 国の検査基準に満たなかったお米
検査基準 農産物検査法に基づき、品質を等級で分類
等級 一等米、二等米、等外米
別称 屑米(くずまい)、砕米(さいまい)
特徴 形が不揃い、粒が割れている、色が悪いなど
価格 安価
味・栄養価 一等米、二等米と比べて大きく劣るわけではない
用途 日本酒造り等
日本酒造りでの利点 粒が小さいため均一に蒸しやすく、雑味のないすっきりとした味わいの日本酒に仕上がる

日本酒造りにおける役割

日本酒造りにおける役割

日本酒は、米を原料とした醸造酒であり、その製造過程は複雑で繊細な技術が求められます。原料となる米は、ただ米であれば良いというわけではなく、精米という工程を通して表面を削り落とすことで、初めて日本酒造りに適した状態になります

精米の目的は、米の表面に存在するタンパク質や脂肪分といった、日本酒の雑味の原因となる成分を取り除くことにあります。中心部分にある純粋なでんぷん質だけを残すことで、雑味のないすっきりとした味わいの日本酒が生まれるのです。この精米工程において、米の粒の大きさや形状が均一であることは非常に重要です。一等米のような粒の揃った米は、精米の際に均一に削ることができ、高い歩留まりで良質な日本酒を造ることができます。

一方で、粒の形が不揃いな等外米は、精米の際に割れてしまいやすく、歩留まりが悪くなってしまいます。しかし、日本酒造りの世界では、あえて等外米を用いることで独特の風味やコクを醸し出すことがあります。例えば、粒が小さく溶けやすい等外米は、麹菌が繁殖しやすいという特徴があります。麹造りに用いることで、酵素の働きが活発になり、より深い味わいの日本酒となります。また、精米歩合の低い純米酒などに等外米を使用すると、米本来の旨味や力強さを最大限に引き出すことができ、複雑で奥行きのある味わいを生み出します。

このように、日本酒造りにおいて米選びは重要な要素であり、一等米だけでなく、等外米にもそれぞれの役割と魅力があるのです。精米技術と米の特性を理解し、最適な米を選定することで、多様な風味と個性を備えた日本酒が生み出されています

米の種類 特徴 精米 日本酒への影響
一等米 粒の形が揃っている 均一に削ることができ、歩留まりが良い 雑味のないすっきりとした味わい
等外米 粒の形が不揃い 割れやすく、歩留まりが悪い 独特の風味やコク、深い味わい、米本来の旨味や力強さ、複雑で奥行きのある味わい

等外米の活用方法

等外米の活用方法

見た目や粒の大きさにばらつきがあるために、一般的には販売されない等外米ですが、実は様々な活用方法があり、食品ロス削減にも貢献しているのです。まず、私たちの食卓に身近な食品の原料として幅広く利用されています。あられやせんべいなどの米菓をはじめ、様々な料理に使える米粉、日本の伝統的な調味料である味噌や醤油、みりん、そして焼酎など、多くの食品に等外米が活用されているのです。等外米は、価格が安いという大きなメリットがあるため、これらの食品を製造する企業にとっては、コスト削減に繋がる貴重な資源となっています。

食品としての活用以外にも、家畜の飼料としても利用されています。栄養価の高い米を飼料に混ぜることで、家畜の健康維持にも役立っています。さらに、近年注目されているのが、バイオエタノールの原料としての活用です。バイオエタノールは再生可能なエネルギー源として期待されており、等外米を有効活用する手段として注目を集めています。

そして、近年では等外米の新たな可能性を探る動きも活発になっています。これまで見過ごされてきた等外米に新たな価値を、商品開発につなげる取り組みが盛んに行われています。例えば、等外米を原料とした風味豊かなお酒や、小麦粉を使わないパンやお菓子などの開発が進んでいます。これらの商品は、消費者の健康志向や環境意識の高まりとともに、注目を集めており、等外米の新たな市場を開拓しています。等外米は、無駄をなくし、新たな価値を生み出すという循環型社会の実現に貢献する、重要な資源と言えるでしょう。

等外米の活用方法

等外米を選ぶ際の注意点

等外米を選ぶ際の注意点

いわゆる規格外米を選ぶ際には、いくつか注意すべき点があります。まず、保存状態です。規格外米は、米粒に傷があったり、未熟粒が混ざっていたりするため、通常の米よりも虫が発生しやすくなっています。そのため、購入後は必ず密閉容器に移し替え、冷蔵庫などの冷暗所で保管するようにしましょう。高温多湿の場所に置いておくと、あっという間に虫が発生してしまうこともあります。次に気を付けたいのは、精米時期です。精米から時間が経つと、米は酸化が進み、風味が落ちてしまいます。特に規格外米は、通常の米よりも酸化しやすい傾向があるため、精米時期が新しいものを選ぶことが大切です。購入する際には、精米日を必ず確認し、なるべく早く使い切るようにしましょう。また、規格外米には様々な種類があり、それぞれ香りや風味、粘り気などが異なります。そのため、料理の用途に合わせて適切な種類を選ぶ必要があります。例えば、せんべいやあられなどのお菓子作りに使う場合は、粘り気が少なく、あっさりとした味わいのものが適しています。反対に、日本酒を造る際には、米の旨味やコクが重要となるため、特定の産地や品種の規格外米が選ばれることもあります。このように、規格外米は、価格が安いだけでなく、用途に合わせて適切に使い分けることで、様々なメリットがあります。保存方法や精米時期、種類などをしっかりと見極め、賢く利用することで、家計の節約にも繋がります。

項目 注意点
保存状態 虫が発生しやすいので、密閉容器に移し替え、冷蔵庫などの冷暗所で保管する。
精米時期 酸化しやすいので、精米時期が新しいものを選び、なるべく早く使い切る。
種類 香りや風味、粘り気などが異なるため、料理の用途に合わせて適切な種類を選ぶ。

まとめ

まとめ

一見すると廃棄されてしまうと思われがちな等外米ですが、実は私たちの暮らしを支える様々な場面で活躍し、食品の無駄を減らすことにも繋がっています。その活用方法は多岐に渡り、私たちの食卓を豊かに彩る様々な食品の原料として利用されています。

まず、日本酒造りにおいて、等外米は重要な役割を担っています。等外米を使うことで、日本酒に独特の風味や奥深いコクが加わり、その味わいをより一層引き立てます。酒蔵によっては、等外米を主要な原料として使用し、個性豊かな日本酒を生み出しているところもあります。また、米菓や煎餅の製造にも等外米は欠かせません。その香ばしい風味とサクサクとした食感は、等外米によって生み出されています。さらに、きめ細かい米粉を作る際にも等外米は活用され、様々な料理やお菓子に利用されています。

等外米の活用範囲は食品製造だけにとどまりません。家畜のエサとしても利用されており、良質な飼料として家畜の成長を支えています。また、近年注目されているバイオエタノールの原料としても活用されており、環境に優しいエネルギー資源として期待されています。このように、等外米は様々な分野で利用されており、資源を無駄なく活用するための重要な役割を担っています。

等外米の大きなメリットの一つは、価格が安いことです。このため、飲食店や食品メーカーなど、業務用としても広く利用されています。近年では、等外米の価値が見直され、新たな商品開発も積極的に行われています。等外米を使ったパンや麺類、お菓子など、様々な商品が開発され、消費者の間でも注目を集めています。等外米の特徴を理解し、上手に活用することで、家計の節約にも繋がり、より豊かな食生活を送ることが可能になります。

等外米は、これまで見過ごされがちだった資源を有効活用する一つの方法であり、持続可能な社会の実現に向けて重要な役割を担っています。今後、更なる研究開発によって、等外米の新たな可能性が発見され、私たちの暮らしをより豊かにしてくれることが期待されています。

まとめ