お酒造りの基本:総米の理解

お酒造りの基本:総米の理解

お酒を知りたい

先生、『総米』って、お酒を作る時のお米の総重量のことですよね?でも、四段掛けとか三段総米とか、種類があるみたいでよく分かりません。

お酒のプロ

そうだね、『総米』はお酒造りで使うお米の総重量のことだよ。簡単に言うと、お酒のもとになる『もろみ』を作るのに必要な、すべてのお米の重さのことだ。四段掛けや三段というのは、もろみに何回に分けてお米を仕込むか、という回数のことなんだ。

お酒を知りたい

なるほど。仕込む回数によって呼び方が変わるんですね。じゃあ、三段総米だったら、三回に分けてお米を仕込むってことですか?

お酒のプロ

その通り!三回に分けて仕込む場合、最後の留添までのお米の総重量を三段総米と呼ぶんだ。四段掛けの場合は、四回目の仕込みのお米も含めたすべての重量が総米になるんだよ。それぞれの仕込みで使うお米の量も、酒母総米、添総米、仲総米、留総米のように呼び方が変わるんだ。

総米とは。

お酒造りで使われる『総米』という言葉について説明します。『総米』とは、お酒のもととなるもろみを作る際、一回の仕込みに使う白米の総重量のことです。仕込みに使ったお米全体の重さという意味で『仕込み総米』とも呼ばれます。仕込みの工程を四回に分けて行う『四段掛け』の場合は、四回目の仕込みに使う白米の重さも含みます。また、三回目の仕込みまでで使う白米の総重量を『三段総米』と言います。

さらに、もろみを仕込む際の配合において、それぞれの工程で使われる白米の総重量を区別して呼ぶこともあります。具体的には、酒母(酛ともいう。お酒造りの出発点となるもと)に使う白米の総重量を『酒母総米』、最初の仕込みに使う白米の総重量を『添総米』、二回目の仕込みに使う白米の総重量を『仲総米』、そして最後の仕込みに使う白米の総重量を『留総米』と呼びます。

総米とは

総米とは

お酒造りにおいて、「総米」とは、お酒を仕込む際に使用するお米の総重量を指します。これは、酒造りの工程全体で使用される白米の合計量であり、お酒の量や質に大きな影響を与える重要な要素です。「一仕込み」とは、お酒を一回仕込む工程全体のことを言い、この一仕込みで使用するお米の総量が「総米」となります。

お酒造りは、まず酒母(しゅぼ)と呼ばれる酵母を育てる工程から始まります。この酒母造りにもお米を使用します。その後、いよいよ醪(もろみ)造りへと進みます。醪とは、蒸した米、麹、水などを混ぜ合わせて発酵させたもので、いわばお酒の素となるものです。この醪造りの過程では、「添(そえ)」と呼ばれる工程を複数回行います。これは、醪のタンクに、蒸米、麹、仕込み水を数回に分けて加えていく作業で、「初添」「仲添」「留添」の3段階に分けられます。それぞれの添で加えるお米の量も、もちろん総米に含まれます。

杜氏(とうじ)と呼ばれるお酒造りの責任者は、長年の経験と勘に基づき、それぞれの工程で使用するお米の量を緻密に計算し、最適な総米の量を決定します。目指すお酒の種類や味わいによって、この総米の量は調整されます。例えば、同じ原料米を使っていても、総米の量を変えることで、出来上がるお酒の風味や香りは大きく変化します。総米が多いほど、濃厚でコクのあるお酒になり、少ないほど、軽やかでスッキリとしたお酒になる傾向があります。このように、総米は、お酒の個性を決定づける重要な要素の一つと言えるでしょう。総米を理解することは、お酒造りの全体像を把握する上で非常に重要であり、お酒の奥深さをより一層楽しむことに繋がるでしょう。

用語 説明 関連用語
総米 お酒を仕込む際に使用するお米の総重量。酒造りの工程全体で使用される白米の合計量。お酒の量や質に大きな影響を与える。 一仕込み、酒母、醪、添、杜氏
一仕込み お酒を一回仕込む工程全体。 総米
酒母(しゅぼ) 酵母を育てる工程。酒母造りにもお米を使用。 総米、醪
醪(もろみ) 蒸した米、麹、水などを混ぜ合わせて発酵させたもの。お酒の素。 総米、酒母、添
添(そえ) 醪のタンクに、蒸米、麹、仕込み水を数回に分けて加えていく作業。初添、仲添、留添の3段階に分けられる。 総米、醪、初添、仲添、留添
杜氏(とうじ) お酒造りの責任者。長年の経験と勘に基づき、それぞれの工程で使用するお米の量を緻密に計算し、最適な総米の量を決定する。 総米

仕込み配合と総米

仕込み配合と総米

お酒造りにおいて、総米という言葉は、使われる白米の総重量を示すだけではありません。仕込み配合という、お酒の味わいを決定づける上で重要な要素と深く関わっています。仕込み配合とは、酒母造りから留添まで、各工程にどれだけの白米を使うかを決める比率のことです。それぞれの工程で使われる白米の重さを、酒母総米、添総米、仲総米、留総米と呼び、これらを全て合わせたものが総米となります。

この仕込み配合は、造りたいお酒の種類や目指す風味によって調整されます。例えば、力強くコクのあるお酒を造りたい場合は、酒母総米の割合を増やすことで、発酵を活発にし、複雑な味わいを生み出すことができます。反対に、すっきりとした軽快なお酒を造りたい場合は、酒母総米の割合を減らし、添総米、仲総米、留総米の比率を調整することで、全体のバランスを整えます。添では、麹の酵素がより多くの糖を作り出し、仲では、穏やかな発酵によって繊細な香りが生まれ、留では、醪の濃度を調整し、最終的な味わいを整えます。

このように、酒母総米、添総米、仲総米、留総米の比率を変えることで、お酒の甘み、酸味、香りのバランス、そして全体の印象が大きく変わります。まるで料理のレシピのように、それぞれの比率が、最終的なお酒の個性を決定づけるのです。これは、杜氏の経験と勘が試される、まさに腕の見せ所と言えるでしょう。長年培ってきた経験と、原料米の特性を見極める確かな目で、最適な仕込み配合を決定し、理想のお酒を造り上げていくのです。そして、それぞれの工程で使用する白米の量を正確に計量することも重要です。わずかな誤差が、最終的な味わいに大きな影響を与える可能性があるからです。杜氏は、長年の経験から得た知識と技術を駆使し、緻密な計算に基づいて、白米の量を調整し、完璧な配合を実現するのです。

三段仕込みと四段仕込み

三段仕込みと四段仕込み

お酒造りの肝となる工程の一つに、醪(もろみ)の仕込みがあります。大きく分けて三段仕込みと四段仕込みがあり、それぞれに特徴があります。まず、三段仕込みから見ていきましょう。

三段仕込みとは、酒母(しゅぼみ)というお酒の種のようなもの、初添(しょぞえ)、仲添(なかぞえ)、そして留添(とめぞえ)という四つの工程のうち、留添までを三段階に分けて行う方法です。初添、仲添、留添の三段階で、蒸した米、麹、水を順に加えていきます。この三段階で加える蒸米の総量を三段総米と呼びます。それぞれの段階で、微生物の働きを調整し、じっくりと時間をかけてお酒を醸していきます。

一方、四段仕込みは、この三段仕込みに加えて、留添の後にさらに四段目の仕込みを行う方法です。この四段目の仕込みによって、より多くの米を投入することができ、出来上がるお酒の量を増やすことができます。四段仕込みの場合、総米は四段分の蒸米の総量となります。四段仕込みは、三段仕込みに比べて手間と時間がかかりますが、より複雑で深い味わいの酒を生み出すことができると言われています。

現在では、多くの酒蔵で三段仕込みが主流となっています。三段仕込みは、四段仕込みに比べて工程が簡略化されているため、作業効率が良く、また品質の安定にも繋がります。しかし、一部の酒蔵では、昔ながらの四段仕込みを守り続けています。それは、四段仕込みでしか出せない独特の風味や味わいを大切にしているからです。

このように、三段仕込みと四段仕込みには、それぞれにメリットとデメリットがあります。杜氏(とうじ)は、造りたいお酒の種類や蔵元の伝統、そして自らの経験と勘を頼りに、最適な仕込み方法を選び、最高の酒を造り上げるのです。お酒造りの奥深さは、まさにここにあります。

項目 三段仕込み 四段仕込み
工程 酒母、初添、仲添、留添(3段階) 酒母、初添、仲添、留添、四段目(4段階)
投入量 三段総米 四段分の蒸米の総量
特徴 作業効率が良い、品質が安定しやすい、主流の製法 手間と時間がかかる、複雑で深い味わい、一部の酒蔵で採用

留添と総米

留添と総米

お酒造りは、幾つもの工程を経て、ようやく完成を迎えます。その中でも、三段仕込みと呼ばれる工程の最終段階である留添は、出来上がるお酒の味わいを決定づける重要な作業です。留添とは、発酵中の醪(もろみ)に最後の蒸米と麹を加えることで、いわば最後の仕上げのようなものです。この最後に加える蒸米の量も総米と呼ばれる仕込み全体の米の量に含まれ、留総米と呼ばれます。

留添の目的は、醪の糖度と酸度を最終的に調整することにあります。糖度が高すぎると、後にアルコール度数が高くなりすぎる可能性があり、低すぎると甘みが足りず、水っぽいお酒になってしまいます。酸度も同様に、高すぎると酸味が強く、低すぎると味がぼやけた印象になります。そのため、留添は、醪の状態を細かに観察し、その後の発酵の進み具合を予測しながら、蒸米と麹の量を緻密に調整する必要があるのです。

もし、留添で加える蒸米の量が多すぎると、発酵が活発になりすぎて、お酒の繊細な香りが失われてしまうことがあります。逆に、蒸米の量が少なすぎると、発酵が十分に進まず、甘みが不足したり、雑味のもとになる可能性があります。このように、留添は、お酒の味わいを大きく左右する、非常に繊細な作業です。

杜氏は、長年培ってきた経験と勘、そして五感を駆使して、醪の状態を見極め、最適な留添の量を決定します。まさに、杜氏の腕の見せ所であり、その技量が試される場面と言えるでしょう。留添によって、醪は最終的な発酵段階へと進み、やがて美味しいお酒へと姿を変えていくのです。美味しいお酒を味わう時、その背景にある杜氏の技術と努力に思いを馳せてみるのも良いかもしれません。

工程 目的 蒸米の量 結果
留添 醪の糖度と酸度の最終調整 多すぎ 発酵が活発になりすぎ、香りが失われる
少なすぎ 発酵が不十分で、甘みが不足、雑味のもとになる
適切 美味しいお酒

総米の重要性

総米の重要性

お酒造りにおいて、原料となるお米の総重量、つまり総米は、最終的なお酒の品質や味わいを大きく左右する重要な要素です。お酒の風味や香りは、この総米によって生まれる醪(もろみ)の糖度や酸度、そして発酵の進み具合に深く関わっています。

まず、総米が多いほど、醪に含まれる糖分が多くなります。これは、米に含まれるでんぷんが糖に分解されるためです。糖分が多いと、酵母が活発に活動し、アルコール度数の高いお酒が生まれます。反対に、総米が少ないと、糖分も少なくなり、アルコール度数の低い、軽やかなお酒となります。

酸度もまた、総米に影響を受けます。総米が多いと、発酵が活発になり、乳酸菌などの活動も促進されるため、酸度が高くなる傾向があります。酸度は、お酒の味わいに奥行きとキレを与え、後味を引き締める役割を果たします。

総米は、お酒の製造コストにも直結します。当然ながら、使用するお米の量が多ければ多いほど、原料費は増加します。そのため、蔵元は、目指すお酒の品質と製造コストのバランスを慎重に考慮しながら、最適な総米を決定する必要があります。高価なお米を惜しみなく使用し、贅沢な味わいを追求する場合もあれば、比較的安価なお米を最大限に活かし、コストパフォーマンスの高いお酒を造る場合もあります。

高品質なお酒を造るためには、原料米の質はもちろんのこと、最適な総米を見極め、適切な仕込み配合を行うことが不可欠です。これは、長年の経験と高度な技術を持つ杜氏の腕の見せ所と言えるでしょう。杜氏は、米の品種やその年の出来具合、目指すお酒の味わいを考慮し、最適な総米を決定します。そして、水、米麹、酵母などの他の原料とのバランスを緻密に調整することで、唯一無二の味わいを生み出しているのです。

このように、総米は、お酒造りの根幹を支える重要な要素です。総米への理解を深めることで、私たちはお酒の奥深い世界をより一層楽しむことができるでしょう。そして、一杯のお酒の中に込められた杜氏の技術と情熱を、より深く味わうことができるはずです。

総米の量 糖度 アルコール度数 酸度 製造コスト その他
多い 高い 高い 高い 高い 濃厚な味わい、後味にキレ
少ない 低い 低い 低い 低い 軽やかな味わい