
日本酒の甘さの秘密:四段仕込みとは?
日本酒造りには、お酒の甘さを左右する様々な技があります。その一つが「四段仕込み」です。多くの日本酒は「三段仕込み」という方法で造られます。これは、蒸した米、米麹、水を三回に分けてタンクに加え、じっくりと発酵させるやり方です。仕込みの回数を重ねることで、微生物の働きが安定し、良質な日本酒が生まれます。四段仕込みは、この三段仕込みにさらにもう一段、仕込み工程を加えたものです。三段仕込みが完了し、醪(もろみ発酵中の日本酒)からお酒と酒粕を分ける直前に、四段目の蒸米を醪に加えます。この最後の蒸米の投入が、四段仕込みの最大の特徴です。なぜ四段目の蒸米を加えるのでしょうか?それは、お酒の甘さを引き出すためです。三段仕込みで醪が十分に発酵した後に蒸米を加えることで、酵母が新たに糖を生成するよりも先に、蒸米のデンプンが糖に変化します。そのため、発酵が完了したときには、醪の中に糖分が多く残り、甘口の日本酒となるのです。四段仕込みは、繊細な技術と熟練の経験が必要です。仕込みのタイミングや蒸米の量、温度管理などを誤ると、お酒の味が損なわれたり、雑味が出てしまうこともあります。蔵人たちは、長年の経験と勘を頼りに、醪の状態を見極めながら、最適な方法で四段仕込みを行います。こうして丁寧に造られた四段仕込みの日本酒は、まろやかな甘みと豊かな香りが特徴で、多くの人を魅了しています。手間暇かけて造られる四段仕込みは、まさに職人の技が生み出す芸術品です。甘口の日本酒がお好きな方はぜひ、四段仕込みの日本酒を試してみてはいかがでしょうか。