おり酒

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日本酒

おり酒の魅力:にごりの奥深さを探る

おり酒とは、日本酒造りの途中で、タンクの底に沈む白い澱を混ぜて瓶詰めしたお酒のことです。この澱は「おり」と呼ばれ、お酒のもととなる米の粒や、発酵を促す酵母の塊、そして米に含まれるタンパク質などが混ざり合ってできています。普通のお酒は、この澱を取り除いて透明な状態にしますが、おり酒はあえてこの澱を混ぜ込むことで、独特の風味や舌触りを持つお酒となるのです。おり酒の見た目は、白く濁っていてどろっとしており、まるで雪解け水や薄にごりのある粥のようです。口に含むと、とろりとした舌触りと共に、濃厚な米の旨味と複雑な香りが広がります。おりには発酵の過程で生まれた様々な成分が含まれているため、通常の透明なお酒に比べて、より深いコクと複雑な味わいが楽しめるのです。また、おりに含まれる米の粒が舌の上で心地よく感じられ、独特の食感も魅力の一つです。おり酒は「滓酒(おりざけ)」とも呼ばれ、古くから親しまれてきました。今では、日本酒の製造技術の向上により、澱を取り除いた透明なお酒が主流となっていますが、あえて澱を残すことで生まれる独特の味わいは、多くの熱烈な愛好家を魅了し続けています。おり酒は、日本酒本来の力強さや複雑さを体感できる、まさに自然の恵みと言えるでしょう。冷やして飲むのはもちろん、ぬる燗にすることで香りが一層引き立ち、また違った味わいを楽しむことができます。様々な温度帯で試して、自分好みの飲み方を見つけるのも、おり酒の楽しみ方の一つです。