じゃがいも

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スピリッツ

北欧の魂 アクアビットの世界

凍てつく大地、北国で古くから愛されてきた蒸留酒、アクアビット。その名は命の水を意味する言葉に由来を持ち、まさに厳しい自然の中で人々の暮らしを支え、心を温めてきたと言えるでしょう。アクアビットの主原料は、北の大地で力強く育つじゃがいもです。他に麦なども用いられます。じゃがいもからアクアビットが生まれるまでには、いくつかの工程が必要です。まず、じゃがいもに含まれるでんぷんを糖に変える糖化作業を行います。次に、この糖を酵母によってアルコール発酵させ、もろみを作ります。最後に、このもろみを蒸留することで、無色透明の蒸留酒が得られます。こうして生まれたアクアビットは、すっきりとしたのど越しと、ほのかな甘みが特徴です。じゃがいも由来の柔らかな風味も感じられ、北国の料理との相性も抜群です。魚介類を使った料理や、肉料理など、様々な料理を引き立て、食卓を彩ります。アクアビットは、北国の人々の生活に深く根ざし、様々な場面で楽しまれてきました。お祝いの席や家族で集まる時など、人々の喜びや悲しみを分かち合う、なくてはならない存在です。また、寒い冬には体を温めるためにも飲まれてきました。人々は囲炉裏を囲み、温かいアクアビットを飲みながら、長い冬を乗り越えてきたのです。アクアビットは、単なるお酒ではなく、北国の風土と歴史、そして人々の心意気を映し出す、まさに文化そのものと言えるでしょう。一口飲むごとに、北の大地の息吹を感じ、その奥深い魅力に惹きつけられるはずです。まるで、静かに燃える炎のように、心を温め、力強く生きる勇気を与えてくれる、そんな特別な蒸留酒です。
焼酎

大地の恵み、じゃがいも焼酎の世界

じゃがいも焼酎とは、その名の通り、じゃがいもを原料に造られた蒸留酒です。米や麦、芋などを原料とする焼酎は広く知られていますが、じゃがいもを用いる焼酎は、それらとは一線を画す独特の風味と香りを持ちます。焼酎には、大きく分けて連続式蒸留焼酎と単式蒸留焼酎の二種類がありますが、じゃがいも焼酎は単式蒸留焼酎、つまり「本格焼酎」に分類されます。本格焼酎は、素材本来の味わいを大切にする製法で造られるため、じゃがいもの自然な甘みや香りが際立ち、まろやかな口当たりと芳醇な余韻が楽しめます。焼酎といえば九州地方を思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、じゃがいも焼酎は北海道で生まれ、育まれてきました。その歴史は比較的新しく、昭和五十四年、北海道の清里町で初めて製造販売が開始されました。当時、じゃがいもはでんぷん原料として広く利用されていましたが、焼酎の原料として注目されることはありませんでした。しかし、清里町の農協職員たちの熱意と努力によって、世界で初めてじゃがいも焼酎が誕生したのです。今では、北海道を中心に、じゃがいもの産地で広く生産されるようになり、地域ごとの土壌や気候、製法の違いによって、様々な味わいのじゃがいも焼酎が造られています。また、北海道以外にも、長崎県などでも特産品として製造している酒蔵があり、それぞれの土地の個性を味わうのも楽しみの一つです。じゃがいも焼酎は、ロック、水割り、お湯割りなど、様々な飲み方で楽しむことができます。そのまろやかな味わいは、和食はもちろん、洋食や中華など、様々な料理との相性も抜群です。また、近年では、じゃがいも焼酎を使ったカクテルなども人気を集めており、新しいお酒の楽しみ方を提案しています。ぜひ一度、じゃがいも焼酎の魅力に触れてみてはいかがでしょうか。