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日本酒

餅麹:日本酒造りの知られざる主役

餅麹とは、日本酒造りに欠かせない麹の一種です。麹とは、蒸した米や麦などの穀物に麹菌を繁殖させたもので、日本酒造りにおいて、でんぷんを糖に変える糖化作用を担う重要な役割を果たします。餅麹はその名の通り、餅のように固めた形状をしているのが特徴です。蒸した米をそのまま用いるバラ麹とは異なり、餅麹は生の穀粉に水を加えて練り固め、蒸しあげた後に麹菌を繁殖させます。この餅状にする工程を製麹と言います。バラ麹と比べて、餅麹は麹菌が繁殖しやすいのです。なぜなら、蒸米をバラバラに扱うバラ麹と違い、餅麹は塊状のため、麹菌にとってより安定した環境を提供できるからです。麹菌が活発に活動することで、質の良い酵素が生成され、安定した品質の麹を得ることができます。また、餅のように固まっているため、扱いが容易である点も大きなメリットです。バラ麹は蒸米をほぐしたり、温度管理に気を遣う必要がありますが、餅麹は固まっているため、作業工程が簡略化され、作業効率が向上します。日本酒造りの現場では、その扱いやすさと安定した品質から、多くの蔵元で重宝されています。特に、気温や湿度の変化が大きい時期においても、安定した品質を保つことができるため、酒造りの成功に大きく貢献しています。麹の品質が安定することで、酒の味わいや香りが安定し、目指す酒質に近づけることができるのです。まさに餅麹は、日本酒造りの縁の下の力持ちと言えるでしょう。