アラビア

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カレワラ:フィンランドの魂を宿す陶磁器

凍える大地と深い森に囲まれた国、フィンランドには、古くから語り継がれてきた物語があります。それが民族叙事詩「カレワラ」です。かつて長い間、隣国に支配されていたフィンランドの人々にとって、「カレワラ」は心の拠り所であり、民族の誇りを思い出させてくれる大切なものでした。「カレワラ」が初めて本になったのは、今からおよそ二百年前。人々の心に深く根付いたこの物語は、多くの画家や音楽家、工芸家たちに創作のひらめきを与え、様々な芸術作品を生み出すきっかけとなりました。その中でもひときわ輝く作品の一つが、フィンランドを代表する焼き物の会社、アラビアが生み出した「カレワラ」シリーズです。このシリーズは、叙事詩「カレワラ」の世界観を、鮮やかな絵付けで表現しています。お皿やカップの一つ一つに、英雄たちの冒険や、森の精霊たちの神秘的な姿が生き生きと描かれており、まるで物語の世界に入り込んだかのような気分にさせてくれます。例えば、「イルマリネン」という名の英雄が魔法の楽器カンテレを奏でる様子や、森の精霊「タピオ」が深い森の中で静かにたたずむ姿など、「カレワラ」の物語を彩る様々な場面が、職人の手によって丁寧に描かれています。「カレワラ」シリーズは、単なる食器ではありません。それはフィンランドの文化と歴史を伝える、小さな芸術作品と言えるでしょう。温かみのある土の感触と、美しい絵柄が、人々の心を掴んで離しません。食卓に並べれば、毎日の食事が特別な時間へと変わります。遠い北の国から届いた、物語を秘めた焼き物は、今もなお多くの人々を魅了し続けています。
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アラビア:北欧陶器の魅力

西暦1873年、古くから陶磁器作りで知られるスウェーデンのロールストランド社という会社のもと、アラビアは産声をあげました。ロールストランド社の傘下で産声を上げたアラビアは、その長い歴史の中で北欧の人々の食卓を彩り、共に時代を歩んできました。誕生当初はロールストランド社の影響を強く受けた製品が中心でした。しかし、1900年代に入ると徐々に独自の色彩感覚や形作りを探求し始め、やがてアラビアらしさというものを確立していきます。特に1916年にロールストランド社から独立してからは、自由な発想で物作りができる環境が整い、大きく発展しました。数多くの才能あふれる絵付け師や土を扱う職人たちを迎え入れ、時代を先取りするような斬新な作品を次々と生み出していったのです。伝統を守りながらも、常に新しい表現に挑戦する姿勢は、今もなおアラビアのもの作りの精神として大切に受け継がれています。アラビアの製品には、北欧の自然や文化、人々の暮らしが深く息づいています。自然を愛し、日々の暮らしを大切にする北欧の人々の心と共鳴するように、アラビアの器は温かみと洗練された美しさを兼ね備えています。一つ一つの作品には、作り手の熱い思いと、時代を超えて愛される普遍的な価値が込められています。そしてそれは、これからも北欧の豊かな文化と共に未来へと受け継がれていくことでしょう。