
お酒と塩基:知られざる関係
水に溶けて水酸化物イオンを生み出す物質、それが塩基です。水酸化物イオンとは、酸素原子と水素原子が結びついたもので、マイナスの電気を帯びています。この水酸化物イオンが水に溶けると、水はアルカリ性を示すようになります。アルカリ性とは、酸性の反対の性質を持つもので、苦味を感じたり、赤色のリトマス試験紙を青色に変えたりする性質があります。私たちの身の回りには、様々な塩基が存在しています。例えば、石鹸や洗剤も塩基性の物質です。これらを水に溶かすと、ヌルヌルとした感触があるのは、水酸化物イオンが皮膚の表面にあるたんぱく質を少し溶かすためです。この性質を利用して、石鹸や洗剤は汚れを落とすのに役立っています。また、こんにゃくを作る時に使う凝固剤にも、強いアルカリ性の水酸化カルシウムなどが使われています。塩基は、酸性の物質と出会うと互いの性質を打ち消し合う、中和反応と呼ばれる反応を起こします。この反応によって、水と塩が作られます。例えば、酸性の代表である塩酸と塩基性の代表である水酸化ナトリウムを混ぜ合わせると、水と塩化ナトリウム、つまり食塩が作られます。私たちの胃の中には、食べ物を消化するために塩酸が含まれていますが、胃酸過多になると胃が痛むことがあります。そんな時に飲む制酸剤の中には、胃酸を中和するための塩基性物質が含まれています。塩基の強さは、ペーハーと呼ばれる数値で表されます。ペーハーは0から14までの範囲で表され、7が中性です。7よりも大きくなるほどアルカリ性が強くなり、14に近づくほど強いアルカリ性を示します。逆に、7よりも小さくなるほど酸性が強くなります。水は中性なので、ペーハーは7です。このように、ペーハーの値を知ることで、その液体がどれくらい酸性またはアルカリ性が強いかを知ることができます。