アンモニア

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日本酒

酒造りとアンモニア:品質への影響

アンモニアは、窒素原子ひとつと水素原子みっつが結びついた無機化合物です。化学式はNH3と書かれ、普段の温度や圧力では無色の気体として存在します。鼻をつく刺激臭が特徴で、空気より軽く、水によく溶ける性質を持っています。この刺激臭は、私たちがアンモニアの存在をいち早く察知するための重要な手がかりとなります。自然界では、生き物の窒素の代謝の過程でアンモニアが作られます。そのため、土の中や水の中に存在しています。生き物にとって窒素はなくてはならない栄養素ですが、アンモニアの形ではそのまま利用できないため、植物などは様々な変化を経て利用しています。また、工場では、ハーバー・ボッシュ法という方法を使って大量にアンモニアが作られています。この方法は、空気中の窒素と水素を反応させてアンモニアを作る画期的な方法で、農業に欠かせない肥料の原料として広く使われています。他にも、様々な化学製品の原料として利用され、私たちの生活を支えています。アンモニア自体は強いアルカリ性を示すため、取り扱いには注意が必要です。高濃度のアンモニアを吸い込むと、呼吸器に刺激を与え、咳や息苦しさ、ひどい場合は意識障害などを引き起こす可能性があります。また、水の中の生き物に対しても毒性を示すため、環境への影響にも気を配る必要があります。適切な管理と利用によって、その恩恵を安全に受けることが大切です。
その他

お酒と塩基:知られざる関係

水に溶けて水酸化物イオンを生み出す物質、それが塩基です。水酸化物イオンとは、酸素原子と水素原子が結びついたもので、マイナスの電気を帯びています。この水酸化物イオンが水に溶けると、水はアルカリ性を示すようになります。アルカリ性とは、酸性の反対の性質を持つもので、苦味を感じたり、赤色のリトマス試験紙を青色に変えたりする性質があります。私たちの身の回りには、様々な塩基が存在しています。例えば、石鹸や洗剤も塩基性の物質です。これらを水に溶かすと、ヌルヌルとした感触があるのは、水酸化物イオンが皮膚の表面にあるたんぱく質を少し溶かすためです。この性質を利用して、石鹸や洗剤は汚れを落とすのに役立っています。また、こんにゃくを作る時に使う凝固剤にも、強いアルカリ性の水酸化カルシウムなどが使われています。塩基は、酸性の物質と出会うと互いの性質を打ち消し合う、中和反応と呼ばれる反応を起こします。この反応によって、水と塩が作られます。例えば、酸性の代表である塩酸と塩基性の代表である水酸化ナトリウムを混ぜ合わせると、水と塩化ナトリウム、つまり食塩が作られます。私たちの胃の中には、食べ物を消化するために塩酸が含まれていますが、胃酸過多になると胃が痛むことがあります。そんな時に飲む制酸剤の中には、胃酸を中和するための塩基性物質が含まれています。塩基の強さは、ペーハーと呼ばれる数値で表されます。ペーハーは0から14までの範囲で表され、7が中性です。7よりも大きくなるほどアルカリ性が強くなり、14に近づくほど強いアルカリ性を示します。逆に、7よりも小さくなるほど酸性が強くなります。水は中性なので、ペーハーは7です。このように、ペーハーの値を知ることで、その液体がどれくらい酸性またはアルカリ性が強いかを知ることができます。