イーニアス・コフィー

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ウィスキー

連続式蒸留機:ウイスキー製造の革新

連続式蒸留機は、ウイスキーをはじめとするお酒を途切れることなく大量に造るための画期的な装置です。その仕組みの中心となるのは、何十段も積み重なった棚を持つ蒸留塔です。この塔こそが、連続式蒸留機の心臓部と言えるでしょう。まず、お酒の元となる発酵した液体、いわばお酒の素を蒸留塔の下の方から送り込みます。塔の底では熱を加えており、お酒の素が温められると、アルコール分を含んだ蒸気が立ち上がります。この蒸気は、塔の中に設置された何十段もの棚を、一段一段と上昇していきます。ここで重要なのが、棚の上で起こる蒸気と液体の出会いです。各棚では、上昇してきた蒸気と、上から降りてくる液体が触れ合います。すると、不思議なことに、蒸気と液体の間で成分の交換が始まります。蒸気の中に含まれるアルコール分は液体に溶け込みやすく、逆に液体に含まれる水分は蒸気になりやすい性質を持っているため、棚を通るごとに蒸気中のアルコールの割合が増えていきます。これを精留と言います。まるで階段を昇るように、一段上がるごとに蒸気はより純粋なアルコールへと近づいていくのです。そしてついに、蒸留塔の最上部にたどり着いた蒸気は、非常に高い濃度のアルコールを含んでいます。この蒸気を冷やすと液体になり、私たちのよく知るお酒となります。連続式蒸留機は、一度に大量のお酒を効率的に造ることが可能です。かつてのお酒造りは、単式蒸留機という装置を使って一度に少量ずつ造る必要がありました。それに比べて連続式蒸留機は、人の手も時間も大幅に減らすことができ、いつでも同じ品質のお酒を造り続けられるという大きな利点があります。まさに、お酒造りの世界における革命的な発明と言えるでしょう。