エールビール

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ビール

奥深いエールビールの世界

エールビールとは、上面発酵という方法で造られるビールの一種です。この製法は、酵母が麦汁の表面で活動し、15度から25度ほどの比較的高温で発酵させるのが特徴です。この温度帯で働く酵母は、様々な香気成分を生み出すため、エールビールはフルーティーな香りや複雑な味わいを持ちます。日本で広く飲まれているラガービールは、下面発酵という異なる製法を用います。ラガービールは低温でじっくりと発酵させるため、すっきりとしたのどごしとクリアな味わいが特徴です。対してエールビールは、高温発酵により、より複雑で豊かな味わいと、個性的な香りを生み出します。歴史的に見ると、エールビールはラガービールよりも古くから存在します。ラガービールが冷蔵技術の発達と共に広まる以前、エールビールは世界中で醸造されていました。そのため、エールビールには、それぞれの地域で育まれた多様な種類が存在します。イギリスのパブで楽しまれるペールエールやスタウト、ベルギーの修道院で造られる複雑な味わいのトラピストビールなど、エールビールは長い歴史の中で多様なスタイルを発展させてきました。近年、日本でもクラフトビールの人気が高まり、多様なエールビールが楽しめるようになりました。華やかな柑橘系の香りを持つものや、ローストした麦芽の香ばしい風味を持つもの、フルーティーで甘酸っぱいものなど、その味わいは千差万別です。エールビールは、ビールの奥深い世界を探求する格好の入り口と言えるでしょう。個性豊かなエールビールを味わい、自分好みの1杯を見つけてみてはいかがでしょうか。
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上面発酵:エールビールの個性

上面発酵は、麦のお酒造りで欠かせない工程である発酵の、大切な方法の一つです。 麦汁に酵母を加えてアルコールを作り出す際に、酵母が液面に浮かび上がり、上面に層を作るように集まることから上面発酵と呼ばれています。この発酵方法は、比較的高めの温度、およそ十五度から二十度で行われます。昔は温度の管理が難しかったため、自然とこの温度帯で発酵が進み、上面発酵が主流でした。現代では温度管理の技術が進歩したものの、昔ながらの製法を大切にしているお酒蔵や、独特の風味を持つお酒を造りたいお酒蔵で、今でもこの上面発酵は使われています。上面発酵によって生まれるお酒には、様々な特徴があります。まず、フルーティーな香りをはじめ、複雑で奥深い香りが特徴です。バナナやリンゴのような甘い香りのするものや、クローブのようなスパイシーな香りのものなど、多様な香りが楽しめます。次に、味わいは、しっかりとしたコクとまろやかな口当たりが特徴です。炭酸ガスも比較的多めに含まれるため、爽快な飲み心地も楽しめます。上面発酵で作られるお酒の種類は様々です。代表的なものとしては、イギリスで生まれたエールや、小麦を多く使った白ビール、黒ビールなどがあります。これらのお酒は、それぞれ異なる香りや味わいを持つため、飲み比べてみると上面発酵の魅力をより深く感じることができます。個性豊かな上面発酵のお酒は、世界中の人々を魅了し続けています。