オフフレーバ

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日本酒

日本酒のオフフレーバ:その正体と対策

お酒は、米、米麹、そして水が織りなす繊細な味わいの芸術品です。しかし、その繊細さゆえに、時に好ましくない香りや味が生じてしまうことがあります。これを、お酒の世界では「オフフレーバ」と呼びます。オフフレーバとは、本来のお酒が持つべき、ふくよかな香りや米の旨味を損ない、味わいを大きく損なってしまう香りや味の総称です。オフフレーバの原因は実に様々で、お酒造りのあらゆる段階に潜んでいます。まず、原料処理の段階では、米の精米が不十分であったり、洗米が適切に行われなかったりすると、雑味のもととなる成分が残ってしまうことがあります。続いて、お酒造りの心臓部とも言える発酵の段階では、温度管理が不適切であったり、酵母の働きが弱かったりすると、本来とは異なる香りが発生する可能性があります。さらに、貯蔵の段階も重要です。貯蔵温度が高すぎたり、日光に当たったりすると、お酒が酸化し、老香と呼ばれる好ましくない香りが発生することがあります。そして最後に、瓶詰め後も油断は大敵です。瓶詰め時の衛生管理が不十分であったり、保管場所の温度変化が激しかったりすると、せっかくの味わいが損なわれてしまうことがあります。このように、オフフレーバの発生は、原料処理から瓶詰め後の保管まで、あらゆる工程のわずかなミスが原因となるのです。だからこそ、蔵人たちは、日々の作業の中で、細心の注意を払い、五感を研ぎ澄ませて、お酒の状態を見極めることに全力を注いでいます。オフフレーバのない、純粋なお酒の美味しさを守ることは、蔵人たちのたゆまぬ努力と情熱の結晶と言えるでしょう。