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ウィスキー

ビールの魂、麦芽の秘密を探る

ビール作りに欠かせない麦芽。それは、大麦を発芽させてから乾燥させたものです。この一見単純な工程の中に、ビールの風味や色合いを決める奥深い秘密が隠されています。発芽の過程で、大麦に含まれるでんぷんを糖に変える酵素が生成されます。そして、乾燥の工程で、この酵素の働きを止め、麦芽の色や香りを決定づけます。麦芽は大きく分けて、ベース麦芽と特殊麦芽の二種類に分類されます。ベース麦芽は、ビールの骨格となる麦芽で、麦汁の糖分の大部分を供給します。代表的なベース麦芽には、淡い色のピルスナー麦芽や、やや濃い色のペール麦芽などがあります。ピルスナー麦芽は、すっきりとした味わいのビールに、ペール麦芽はややコクのあるビールにと、それぞれの特徴を活かして使用されます。特殊麦芽は、ベース麦芽に少量加えることで、ビールの色や香りを調整したり、特別な風味を加えたりする麦芽です。その種類は実に多彩で、焙煎した麦芽の香ばしさを加えるカラメル麦芽や、チョコレートのような香りと濃い色合いを持つチョコレート麦芽、コーヒーのような風味を醸し出すコーヒー麦芽など、様々な種類があります。これらの特殊麦芽は、ビールに複雑な風味や深みを与え、個性を際立たせる役割を担います。ビール職人は、これらの麦芽の種類や配合、焙煎の度合いなどを緻密に調整することで、実に多様なビールを生み出しています。まるで画家が絵の具を混ぜ合わせるように、様々な麦芽を組み合わせることで、黄金色に輝く爽やかなビールから、深い琥珀色で芳醇な香りのビールまで、無限のバリエーションが生まれるのです。ビールの奥深い世界は、まさに麦芽の多様性によって支えられていると言えるでしょう。