
ホワイト・スピリッツの世界
透き通った蒸留酒、その名をホワイトスピリッツといいます。ホワイトスピリッツとは、樽でじっくりと熟成させないため、無色透明な姿のまま瓶詰めされる蒸留酒の総称です。琥珀色の輝きを放つウイスキーやブランデーとは異なり、熟成を経ないがゆえに、原料本来の持ち味がダイレクトに感じられるのが大きな特徴です。世界各地で多種多様なホワイトスピリッツが造られており、それぞれの土地で独自の製法や文化と共に育まれてきました。例えば、ロシアで生まれたウォッカは、じゃがいもや小麦などを原料とし、濾過を繰り返すことで雑味のないクリアな味わいに仕上がります。イギリス発祥のジンは、大麦などを原料とした蒸留酒に、ジュニパーベリーという香りの強い木の実を加えることで独特の風味を醸し出します。メキシコを代表するテキーラは、リュウゼツランという植物を原料とし、力強い味わいが特徴です。カリブ海で生まれたラム酒は、サトウキビから作られる糖蜜や砂糖きびジュースを原料とし、甘く芳醇な香りが魅力です。そして、日本には米や麦、芋などを原料とした焼酎があり、中国には高粱などを原料とした白酒があります。このように、ホワイトスピリッツは世界中で様々な原料を用いて、多様な風味を生み出しています。ホワイトスピリッツの楽しみ方は様々です。きりりと冷やしたものをそのままストレートで味わうのも良いですし、カクテルのベースとしても広く用いられています。そのすっきりとした味わいは、他の材料の味を引き立て、無限の可能性を秘めています。様々なホワイトスピリッツを飲み比べてみれば、奥深い蒸留酒の世界を堪能できることでしょう。