
テキーラの魅力を探る旅
蜜のように甘く、力強い風味を持つ蒸留酒、それがテキーラです。メキシコを代表するお酒として世界中で親しまれ、その名はメキシコ合衆国ハリスコ州にあるテキーラという小さな町に由来します。テキーラの原料は、リュウゼツラン科の植物であるアガベです。アロエにも似た多肉植物で、その種類は様々ですが、テキーラ作りに用いられるのは、特に糖分を豊富に含むブルーアガベと呼ばれる品種です。正式名称はアガベ・アスール・テキラーナ・ウェーバーといい、ハリスコ州とその周辺地域で大切に育てられています。この地域は、昼夜の寒暖差が激しく、乾燥した気候であることから、良質なアガベの栽培に適した土地です。収穫されたアガベの茎の部分は、パイナップルによく似た形をしています。この部分をピニャと呼び、テキーラの風味の源となる大切な部分です。ピニャを蒸し焼きにして糖化し、そこから搾り出した糖蜜を発酵、蒸留させることで、無色透明のテキーラが生まれます。ジンやウォッカ、ラム酒などと同じく、ホワイトスピリッツと呼ばれる種類に分類されます。熟成期間によってテキーラの味わいは変化します。熟成させないか、短期間で熟成させたものは、すっきりとした味わいで、フレッシュなアガベの香りが際立ちます。数ヶ月以上熟成させたものは、樽由来のまろやかな風味が加わり、黄金色に輝きます。このように、熟成期間によって様々な風味を楽しめるのも、テキーラの魅力の一つです。テキーラの楽しみ方は多種多様です。キリッと冷やしたストレートやロックで味わうのはもちろん、マルガリータやテキーラサンライズなど、様々なカクテルのベースとしても利用されます。また、メキシコでは、塩とライムを添えて味わうのが定番です。独特の風味と飲みやすさで、世界中の人々を魅了し続けているテキーラ。その背景には、メキシコの文化と深く結びついた歴史と伝統が息づいています。