ドメーヌ

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日本酒

ドメーヌ:こだわりの酒造り

お酒の世界で「ドメーヌ」と耳にする機会が増えてきました。もともとはフランス語で「所有地」という意味を持つ言葉で、ワインの世界では、ブドウの栽培から醸造、瓶詰めまでを一貫して行う生産者のことを指します。近年、日本酒の分野でもこの考え方が注目を集めており、原料となる米作りからお酒造りまでのすべてを自社で行う酒蔵が増えています。なぜ、日本酒の世界でドメーヌという考え方が広まっているのでしょうか。その理由は、土地の個性を最大限に表現したお酒を生み出したいという蔵元の強い思いにあります。気候や風土、土壌といった、それぞれの土地が持つ特徴は、そこで育つ米の味わいに大きな影響を与えます。そして、その米を使って醸されるお酒にも、当然ながら土地の個性が反映されるのです。すべての工程を自社で行うことで、米作りから醸造まで、一貫した管理体制の下で、その土地ならではの味わいを追求することができます。具体的には、仕込み水の水脈と田んぼの位置関係を考慮したり、蔵が所有する田んぼで栽培した米だけを使うといった、地産地消へのこだわりもドメーヌの大きな特徴です。フランスのワイン生産者であるシャトーのように、土地と密接に関わりながらお酒造りを行うことで、他では真似のできない、唯一無二の日本酒が生まれます。このようにして造られた日本酒は、その土地の風土や気候、そして生産者の技術と情熱が凝縮された、まさに芸術作品と言えるでしょう。ドメーヌという概念は、日本酒の可能性をさらに広げる、重要なキーワードと言えるでしょう。