
搾り滓が生む芳醇な香り:滓取りブランデーの世界
ぶどう酒の製造過程で残る、ぶどうの搾りかすから造られる蒸留酒は、世界中で愛飲されています。この搾りかすには、果皮や種、茎などが含まれており、ぶどう酒の風味の源となる成分がまだ多く残っています。ぶどう酒造りの副産物から生まれる、新たな味わいの創造と言えるでしょう。この蒸留酒は世界各地で造られており、それぞれの地域によって独特の呼び名で呼ばれています。フランスでは「マール」と呼ばれ、香り高く力強い味わいが特徴です。シャンパーニュ地方のマールは特に有名で、祝いの席などで楽しまれています。イタリアでは「グラッパ」と呼ばれ、食後酒として親しまれています。北部で造られるものは、華やかでフルーティーな香りが特徴です。スペインでは「オルーホ」と呼ばれ、力強く野性味あふれる味わいが特徴です。ガリシア地方のものが特に有名で、地元の祭りなどでは欠かせないお酒です。ポルトガルでは「バガセイラ」と呼ばれ、フレッシュでフルーティーな香りが特徴です。ポートワインの産地であるドウロ地方のバガセイラは特に有名です。ドイツでは「トレスター・ブランド」と呼ばれ、力強く重厚な味わいが特徴です。ラインガウ地方などで造られています。ギリシャでは「チプロ」と呼ばれ、独特の松ヤニのような香りが特徴です。メゼと呼ばれる軽食と共に楽しまれています。南米諸国では「アグアルディエンテ」と呼ばれ、ぶどう以外にもサトウキビなどを原料としたものもあります。それぞれの土地のぶどうの品種や風土、伝統的な製法によって、個性豊かな味わいが生まれます。まるで世界を旅しているかのように、様々な香りと風味を探求できるのも、この蒸留酒の魅力と言えるでしょう。