
ウイスキーの魂、六条大麦を探る
六条大麦とは、読んで字のごとく、穂の軸から六列に実が並ぶ大麦の一種です。その名の由来は、この六列に並ぶ実から来ています。麦の穂をよく見ると、軸から左右交互に三対、合計六列に実がびっしりと付いており、他の大麦とは一目で区別できます。たとえば、二条大麦という種類は、軸の両側に二列のみ実が付くため、見た目にも大きな違いがあります。この六条大麦は、二条大麦に比べて、タンパク質の含有量が多く、酵素の働きも活発という特徴を持っています。特に、酵素の働きが活発であることは、お酒造りにおいて非常に重要な要素です。酵素は、麦に含まれるでんぷんを糖に変える役割を担っており、この糖がアルコール発酵の基となります。つまり、酵素が活発であればあるほど、効率よくアルコール発酵を進めることができるのです。六条大麦は、特に穀物由来のウイスキーやバーボンウイスキーの主要な原料として使われています。これらのウイスキー独特の風味や力強い味わいは、六条大麦の持つ高いタンパク質含有量と活発な酵素活性によるものです。世界的に見ると、ウイスキー造りに使われる大麦は二条大麦が主流ですが、アメリカやカナダでは六条大麦が盛んに使われています。これは、六条大麦の高い酵素活性が、これらの地域で古くから行われている連続式蒸留という製法に適しているためです。連続式蒸留は、効率的に大量のウイスキーを製造できる方法ですが、原料の質によって大きく味が左右されます。六条大麦は、この連続式蒸留に最適な性質を持っているのです。さらに、六条大麦は、寒さや乾燥といった厳しい気候条件にも強いため、アメリカやカナダのような気候の地域での栽培に適しています。二条大麦に比べて栽培が容易であることも、これらの地域で六条大麦が選ばれる理由の一つです。このように、六条大麦は、その独特の性質から、ウイスキー造りに欠かせない原料として、特定の地域で重宝されています。