
バーボンの味を決める、秘密の蒸留器
お酒造りの要ともいえる蒸留。その中心で活躍するのが蒸留器です。蒸留器の種類によってお酒の風味や特徴は大きく異なり、お酒選びの重要なポイントとなります。大きく分けて二つの種類、単式蒸留器と連続式蒸留器の特徴を見ていきましょう。まず、単式蒸留器は、ポットスチルとも呼ばれ、銅でできた釜のような形をしています。一度の蒸留で比較的低いアルコール度数のお酒が得られます。このため、風味を濃縮するために何度も蒸留を繰り返すのが一般的です。単式蒸留器は、原料の持つ個性を最大限に引き出し、複雑で力強い風味のお酒を生み出します。特に、ウイスキー造りにおいては、スコッチウイスキーやアイリッシュウイスキーなどで伝統的に用いられてきました。濃厚な麦芽の風味やフルーティーな香り、複雑な味わいは、この単式蒸留器によって生み出されます。少量生産のため、希少価値の高いお酒が多い点も特徴です。一方、連続式蒸留器は、複数の蒸留塔を備えた装置で、連続的に蒸留を行うことができます。そのため、高純度でアルコール度数の高いお酒を大量に生産することが可能です。雑味が少なく、すっきりとした飲み口のお酒が作られるため、連続式蒸留器はピュアでスムースなお酒を求める際に最適です。ウイスキーでは、グレーンウイスキーの製造に用いられ、様々なブレンドのベースとして活躍しています。また、ウォッカやジンなど、クリアなお酒造りにも適しています。このように、単式蒸留器と連続式蒸留器はそれぞれ異なる特徴を持っています。お酒を選ぶ際には、蒸留器の種類にも注目することで、より深くお酒の個性を楽しむことができるでしょう。