
上面発酵:エールビールの個性
上面発酵は、麦のお酒造りで欠かせない工程である発酵の、大切な方法の一つです。 麦汁に酵母を加えてアルコールを作り出す際に、酵母が液面に浮かび上がり、上面に層を作るように集まることから上面発酵と呼ばれています。この発酵方法は、比較的高めの温度、およそ十五度から二十度で行われます。昔は温度の管理が難しかったため、自然とこの温度帯で発酵が進み、上面発酵が主流でした。現代では温度管理の技術が進歩したものの、昔ながらの製法を大切にしているお酒蔵や、独特の風味を持つお酒を造りたいお酒蔵で、今でもこの上面発酵は使われています。上面発酵によって生まれるお酒には、様々な特徴があります。まず、フルーティーな香りをはじめ、複雑で奥深い香りが特徴です。バナナやリンゴのような甘い香りのするものや、クローブのようなスパイシーな香りのものなど、多様な香りが楽しめます。次に、味わいは、しっかりとしたコクとまろやかな口当たりが特徴です。炭酸ガスも比較的多めに含まれるため、爽快な飲み心地も楽しめます。上面発酵で作られるお酒の種類は様々です。代表的なものとしては、イギリスで生まれたエールや、小麦を多く使った白ビール、黒ビールなどがあります。これらのお酒は、それぞれ異なる香りや味わいを持つため、飲み比べてみると上面発酵の魅力をより深く感じることができます。個性豊かな上面発酵のお酒は、世界中の人々を魅了し続けています。