
お酒造りの立役者、酵母の世界
お酒作りには欠かせない酵母。目には見えないほど小さな生き物ですが、一体どんなものなのでしょうか。酵母とは、糖分を分解して、お酒の成分であるアルコールと、シュワシュワとした泡のもとになる炭酸ガスを作り出す力を持った微生物です。その大きさはなんと1ミリの1000分の5ほど。あまりにも小さいため、肉眼では見ることができず、顕微鏡を使わなければその姿を確認することはできません。この小さな生き物が、お酒に風味や個性を加える重要な役割を担っているのです。酵母は糖分を分解する際に、様々な香りの成分も同時に作り出します。例えば、バナナのような甘い香りを出す酵母や、リンゴのような爽やかな香りを出す酵母など、種類によって様々な香りがあります。お酒の種類によって使用する酵母を変えることで、風味や味わいを調整することができるのです。日本酒やビール、ワインなど、様々なお酒造りに欠かせない存在と言えるでしょう。実はこの酵母、パン作りにも使われるイーストと同じ仲間なのです。どちらも「子のう菌」と呼ばれるグループに分類されます。パン作りでは、酵母が糖を分解する際に発生する炭酸ガスによって生地が膨らみます。また、同時に生まれるアルコールは加熱によって蒸発し、独特の香ばしさをパンに加えます。このように、酵母は私たちの食卓を豊かに彩る、なくてはならない存在です。名前は知らなくても、実は私たちの生活に深く関わっている微生物なのです。色々な種類があり、それぞれが異なる特徴を持っているので、お酒やパンの味に大きく影響を与えます。今度お酒やパンを口にする時には、酵母の働きに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。