ホット・トディ

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カクテル

ホット・トディー:寒い夜にぴったりの温かいお酒

熱いお酒を飲む文化は世界各地に古くからありますが、トディーと呼ばれる飲み物の歴史は18世紀のスコットランドに始まったと考えられています。冬の寒さが厳しいスコットランドの地で、人々は少しでも体を温める術を探していました。その中で生まれたのが、蒸留酒にお湯や砂糖、香辛料などを加えて温めた飲み物でした。当時、ウイスキーなどの蒸留酒は貴重なものでしたが、水を加えて温めることで体を温める効果を高め、さらに砂糖や香辛料で風味を調えることで、厳しい冬を乗り切るための知恵として広まっていったのです。この温かい飲み物は、次第にイギリス全土へと広がり、やがて大英帝国の植民地であったアメリカにも伝わりました。アメリカでは特に初期の入植者たちの間で人気となり、寒い夜を暖炉の火で温まりながら、この飲み物を楽しむ習慣が根付いていきました。「トディー」という名前の由来にはいくつかの説があります。一説には、インドでヤシの木の樹液を自然発酵させた飲み物があり、これも「トディー」と呼ばれていました。このインドの飲み物とスコットランドの温かいお酒が、製法は異なるものの、体を温める効果があるという共通点から、同じ名前で呼ばれるようになったという説です。また別の説では、スコットランドのエディンバラにあった「トディー」という名の井戸から湧き出る水が、この飲み物に使われていたことから、その名前が付けられたとも言われています。このように様々な由来や歴史を持つトディーですが、時代や地域によって様々な変化を遂げてきました。ウイスキーだけでなく、ブランデーやラム酒など、様々な蒸留酒がベースとして使われるようになり、加える香辛料や甘味料も地域によって異なり、それぞれの土地で独自の進化を遂げてきました。現在でも、寒い季節には多くの人々に愛され続けている飲み物と言えるでしょう。