ボーメ度

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お酒造りの計測器:浮ひょう

浮き秤とは、液体の重さ比べをするための道具です。重さ比べとは、あるものの重さと、基準となるものの重さを比べた値のことです。普通は、液体の場合は、基準となるものとして4度の水を使います。浮き秤は、アルキメデスの法則に基づいて作られています。アルキメデスの法則とは、水などの液体に物を入れると、その物は、押しのけた液体の重さに等しい浮く力を受けるというものです。言い換えると、液体の重さ比べが大きいほど、浮き秤はより浮きやすく、重さ比べが小さいほど、浮き秤はより沈みます。この法則を使って、浮き秤の沈み具合から液体の重さ比べを読み取ることができます。浮き秤は、ガラスで作られた管のような形の道具で、下の部分にはおもりが入っています。このおもりによって、浮き秤はいつもまっすぐ立って液体に浮かびます。そして、管の上の部分には目盛りが刻まれており、液体の表面と目盛りの交わる所から重さ比べを読み取ることができるのです。例えば、水の重さ比べを測る場合、浮き秤は目盛り1の所に来ます。もし、測る液体が水より重い場合、浮き秤は1よりも上の目盛りに来ますし、軽い場合は1よりも下の目盛りに来ます。浮き秤には様々な種類があり、測りたい液体の重さ比べの範囲によって使い分けられます。例えば、牛乳の重さ比べを測るための牛乳用浮き秤や、お酒の重さ比べを測るための酒用浮き秤などがあります。また、目盛りの刻まれ方も様々で、重さ比べを直接読み取れるものや、ボーメ度や比重などの別の単位で目盛りが刻まれているものもあります。そのため、使用する際には、どの種類の浮き秤を使うべきか、目盛りはどのように読み取れば良いのかをしっかりと確認することが大切です。
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醪管理の要、BMD値とは?

酒造りは、蒸した米に麹と水を混ぜ合わせ、発酵させることでお酒を生み出す、繊細な技の結晶です。この発酵過程で生まれる、お酒の素となる液状のものを「醪(もろみ)」といいます。醪の良し悪しはお酒の質に直結するため、醪の状態管理は酒造りの肝となります。醪の管理には、温度や湿度、そして発酵の進行具合を細かく観察し、調整することが求められます。その中でも、発酵の進み具合を数値で表す指標として「BMD値」があります。このBMD値は、醪の糖度とアルコール度数の変化を捉えることで、発酵の状態を正確に把握するのに役立ちます。BMD値は、ボーメ度(ボーメ)と呼ばれる比重計を用いて測定します。ボーメ度は液体の比重を表す単位であり、この値の変化から醪中の糖分がアルコールへと変化していく様子を推測できます。発酵の初期段階では、醪にはたくさんの糖分が含まれています。酵母はこの糖分を分解し、アルコールと炭酸ガスを生成します。そのため、発酵が進むにつれて糖分は減少し、アルコール度数は上昇していきます。この糖分の減少は醪の比重を軽くし、ボーメ度の低下として観察されます。つまり、BMD値の変化を追うことで、発酵の進行状況をリアルタイムで把握できるのです。BMD値は、酒造りの工程管理に欠かせないツールとなっています。毎日、同じ時刻にBMD値を測定し記録することで、発酵のスピードや傾向を掴むことができます。このデータに基づいて、温度調整や仕込みのタイミングなどを微調整することで、目指すお酒の味わいを作り出すことが可能になります。また、過去のデータと比較することで、発酵の異常を早期に発見し、品質の低下を防ぐことにも繋がります。BMD値は、経験と勘に頼っていた酒造りを、より科学的で確実なものへと進化させる、重要な指標と言えるでしょう。
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お酒造りの要、A-B直線

お酒造りは、生き物である酵母との共同作業であり、その繊細な工程の一つ一つが最終的な味わいを大きく左右します。原料である米や麦などを蒸したものに、麹と水を混ぜ合わせることで、糖化と発酵という二つの大きな変化が醪の中で起こります。麹に含まれる酵素の働きで、蒸米のデンプンが糖に分解され、その糖を酵母が食べてアルコールと炭酸ガスを作り出します。この、一見単純な糖の分解にも、様々な要因が複雑に絡み合っています。醪管理の重要性は、まさにこの複雑な発酵過程を適切に制御することにあります。温度、湿度、酸素の供給量など、醪の状態に影響を与える要素は数多く存在し、これらが微妙に変化することで、酵母の活動や生成される成分のバランスも変化します。例えば、温度が高すぎれば酵母の活動は活発になりすぎるし、低すぎれば発酵がなかなか進みません。また、酸素が不足すると酵母は十分に増殖できず、思うような発酵が得られません。こうした様々な要素を総合的に判断し、醪の状態を理想的な方向へ導くことが、杜氏をはじめとする蔵人たちの腕の見せ所です。長年の経験と勘、そして五感を駆使して醪の状態を見極め、適切な温度管理や櫂入れ(醪をかき混ぜる作業)などを行います。醪の香りを嗅ぎ、泡の状態を観察し、指先で温度や粘度を確かめることで、発酵の進み具合や酵母の活性度を判断します。そして、この醪管理をより科学的に、そして効率的に行うために役立つツールの一つが「A-B直線」です。これは、醪の成分を分析することで得られる数値をグラフ上にプロットし、発酵の状態を視覚的に把握する手法です。A-B直線を用いることで、経験や勘に頼るだけでなく、数値に基づいた客観的な判断が可能になります。これにより、より安定した品質のお酒造りを実現することができます。この「A-B直線」については、次の章で詳しく解説していきます。