ランビック

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複雑な風味を持つ熟成ビール:グーズ

ベルギーの首都ブリュッセル近郊で古くから作られてきたグーズ。その独特の味わいの秘密は、ランビックと呼ばれるビールにあります。ランビックは、一般的なビール酵母を添加するのではなく、空気中に漂う野生酵母を取り込むことで発酵が進む、まさに自然の恵みによって生まれるビールです。その製法は、まず大麦、小麦、そして熟成させたホップを用いて麦汁を仕込みます。この麦汁を屋根裏などの開放的な空間に置き、自然と舞ってくる酵母を待ち受けます。こうしてランビック独特の複雑な酸味と香りが生まれます。グーズは、このランビックの中でも異なる熟成期間のものを混ぜ合わせて作られます。2~3年もの間、じっくりと樽の中で熟成させたランビックと、まだ1年程度の若いランビックを絶妙なバランスでブレンドすることで、奥深い風味と芳醇な香りが生まれます。このブレンドは、まるで熟練の職人が絵の具を混ぜ合わせるように、長い経験と知識に基づいて行われます。若いランビックに残る糖分は、瓶詰めされた後も二次発酵を進めます。この二次発酵により炭酸ガスが発生し、シャンパンのような発泡性を与えます。そのため、グーズは瓶内二次発酵による圧力に耐えられるよう、厚みのあるシャンパンボトルに詰められ、コルクで栓がされます。開栓時には、シャンパンと同様にポンッと心地よい音が響き渡り、祝いの席に華を添えます。こうして、自然の力と職人の技が融合した、唯一無二のビール、グーズが完成するのです。
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自然発酵ビールの魅力を探る

お酒造りにおいて、欠かせない工程である発酵。ビール造りでは、一般的には人工的に培養された酵母を用います。しかし、自然発酵ビールは一味違います。空気中や麦芽、果実などに住み着いている自然の酵母によって発酵を行うのです。つまり、自然界に存在する様々な種類の酵母を取り込むことで、人工培養酵母とは異なる複雑で奥深い味わいを生み出すことができます。まるで自然の神秘が織りなす芸術作品のようです。この自然発酵という手法は、ビールに限ったものではありません。古くからワインや日本酒など、様々な醸造酒で用いられてきた伝統的な方法です。ビール造りにおいても、この自然発酵を取り入れることで、他にはない独特の個性を表現することができます。自然の酵母は、その土地の環境や気候、原料の個性などを反映するため、それぞれの地域で異なる味わいのビールが生まれます。まさに、その土地の風土を五感で感じることができる、と言えるでしょう。自然発酵ビールは、発酵期間が長くなる傾向があります。これは、自然の酵母の働きが穏やかで、じっくりと時間をかけて発酵が進むためです。また、多様な酵母が関与しているため、風味も複雑で多様になります。酸味や渋み、フルーティーな香りなど、様々な要素が絡み合い、独特の味わいを生み出します。さらに、同じ原料を用いても、その年の気候や環境によって、出来上がるビールの味わいが微妙に変化するのも、自然発酵ビールの魅力の一つです。まさに、一期一会の味わいを堪能できる、と言えるでしょう。このように、自然発酵ビールは、自然の恵みと職人の技が融合した、特別なビールです。大量生産される画一的なビールとは異なる、個性豊かな味わいを求める人々に、ぜひとも味わっていただきたい逸品です。自然の神秘に触れ、その土地の風土を感じることができる、まさに特別な体験となるでしょう。