
ドライジン:辛口の奥深き世界
ドライジンとは、読んで字の如く、甘くないお酒を指します。ジン特有の風味はそのままに、甘みが抑えられた、より辛口ですっきりとした味わいが特徴です。ジンは、大麦、ライ麦、小麦などの穀物を原料に作られた蒸留酒で、ジュニパーベリーという実の香りを中心に、様々な香味を持つ植物、つまりボタニカルを加えて風味付けされます。このボタニカルの種類や配合によって、ジンの味わいは大きく変化します。数あるジンの中でも、ドライジンは甘みが抑えられているため、ボタニカル本来の風味が際立ち、より複雑で奥深い味わいを楽しむことができます。かつては、「ロンドンジン」と呼ばれる、特定の製法で造られたジンの中で、甘みが加えられていないものだけがドライジンと呼ばれていました。ロンドンジンは、連続式蒸留器を用いて蒸留し、砂糖などの甘味料を一切加えず、規定のボタニカルのみを使用することが定められています。ところが時代が進むにつれて、ロンドンジン以外のジンでも、甘くないものは全てドライジンと呼ぶようになりました。現在では、世界中で様々なドライジンが造られており、使用するボタニカルも様々です。ジュニパーベリーに加えて、コリアンダーシード、アンジェリカルート、オレンジピールなど、伝統的なボタニカルを使用するジンもあれば、生産者独自の製法で、様々な地域の珍しいボタニカルを使用するジンも存在します。そのため、ドライジンは非常に多様性に富んでおり、それぞれの銘柄によって異なる個性を持ちます。ドライジンは、そのすっきりとした味わいと豊かな香りから、様々な飲み方で楽しむことができます。ストレートやロックで味わうことで、ボタニカルの風味を存分に感じることができ、カクテルのベースとしても最適です。特に、ジン・トニックやマティーニなどの定番カクテルは、ドライジンの辛口ですっきりとした味わいがなくては完成しません。個性豊かなドライジンの中から、自分好みの1本を見つけるのも、ジンを楽しむ醍醐味と言えるでしょう。