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フォアショッツ:知られざる蒸留の秘密

お酒造り、とりわけ蒸留酒造りにおいては、様々な工程を経て、美味しいお酒が生まれます。その中でも、あまり知られていない工程の一つに「最初の留分」の分離があります。これは、再蒸留の際に最初に出てくる部分を指し、一般的には「はじめの留分」と呼ばれています。このはじめの留分は、アルコール度数が非常に高いのが特徴です。加熱によってまずアルコールが気化し、冷却されて液体に戻るため、最初の段階では高濃度のアルコールが得られます。しかし、高濃度であるがゆえに、お酒の香味を損なう成分も同時に含まれてしまっています。フーゼル油と呼ばれる、独特の臭みを持つ成分や、その他揮発性の高い不純物がそれにあたります。これらの成分は、人体に有害な場合もあるため、はじめの留分をそのまま飲むことは避けるべきです。一般的には、はじめの留分は熟成工程には回されません。熟成によってお酒の味わいはまろやかになり、複雑な香りが生まれますが、はじめの留分に含まれる不純物は熟成を経ても除去することが難しく、むしろ熟成の過程で悪影響を及ぼす可能性もあるからです。そのため、多くの蒸留所では、はじめの留分は次の蒸留工程に再利用するか、廃棄されています。しかし、中には、このはじめの留分を少量だけ製品にブレンドする蒸留所も存在します。はじめの留分には独特の風味があり、これを微量加えることで、製品に複雑な香りを加え、奥行きを出すことができるからです。ただし、これは高度な技術と経験が必要とされるため、ごく一部の蒸留所で行われているに過ぎません。このように、はじめの留分は、一般的には日の目を見ることはありませんが、蒸留酒の品質を左右する重要な要素の一つです。その存在を知ることで、お酒造りの奥深さを改めて感じることができるのではないでしょうか。
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お酒の蒸留とフェインツ

蒸留とは、複数の液体が混ざり合ったものを加熱し、それぞれの液体に沸騰する温度の違いを利用して、成分ごとに分離し、純度の高いものにする方法です。お酒作りにおいては、穀物や果物を発酵させて作った、アルコールを含んだ液体から、よりアルコール度数の高いお酒を取り出すために行います。蒸留を行うことで、お酒に含まれる雑味や、好ましくない成分を取り除き、香り高く風味豊かなお酒を作ることができます。蒸留の具体的な手順は、お酒の種類や作られる地域によって少しずつ異なりますが、基本となる考え方は同じです。まず、発酵によって作られたアルコールを含んだ液体を蒸留器に入れます。そして、蒸留器を加熱することで、アルコールを蒸発させます。アルコールは水よりも低い温度で蒸発するため、加熱を始めると、先にアルコールが蒸気になります。次に、蒸発したアルコールの蒸気を冷やして液体に戻します。この液体を集めることで、アルコール度数の高いお酒が得られます。この一連の作業を繰り返すことで、より純度の高いアルコールを得ることも可能です。蒸留の歴史は古く、古代文明の時代から様々な地域で行われてきました。お酒作りだけでなく、香料や薬品の製造にも利用され、人々の生活に深く関わってきました。現代でも蒸留技術は進化を続けており、より高品質なお酒を生み出すために欠かせない技術となっています。より効率的に、より精密にアルコールを分離精製するための技術革新や、新しい蒸留器の開発など、常に改良が加えられています。蒸留技術の進歩は、お酒の風味や品質向上に大きく貢献しており、今後も更なる発展が期待されています。
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蒸留所の心臓部:チャージャーの役割

お酒は、さまざまな工程を経て作られます。特に、ウイスキーやブランデーといった蒸留酒は、複雑な製造過程を経て、あの芳醇な香りと味わいを生み出します。数ある工程の中でも、あまり知られていないものの、お酒の品質を左右する重要な装置があります。それが「チャージャー」です。今回は、この縁の下の力持ちであるチャージャーの役割と重要性について、詳しく見ていきましょう。チャージャーとは、蒸留器に麦汁やワインといった発酵後の液体(醪)を送り込む装置のことを指します。蒸留は、醪を加熱し、アルコール分を含んだ蒸気を冷却して液体に戻すことで、アルコール度数を高める工程です。この工程において、チャージャーは醪を適切な温度と速度で蒸留器に供給するという重要な役割を担います。醪の温度や供給速度が適切でないと、蒸留効率が低下したり、香味に悪影響が出たりすることがあります。そのため、チャージャーは蒸留酒造りにおいて、品質と効率を左右する重要な装置と言えるのです。チャージャーにはいくつかの種類があり、蒸留器の種類や製造規模によって使い分けられます。代表的なものとしては、ポンプで醪を送り込むポンプ式や、重力によって醪を送り込む重力式などがあります。また、醪の温度を調整する機能を備えたチャージャーもあります。蒸留の過程では、醪の温度管理が非常に重要です。適切な温度で醪を蒸留器に送り込むことで、雑味を抑え、より純粋なアルコールを得ることができます。このように、チャージャーは蒸留酒造りにおいて、醪の供給という点で品質管理の要となっています。そのおかげで、私たちはおいしいお酒を楽しむことができるのです。普段は目に触れることはありませんが、高品質なお酒を安定して供給するために、チャージャーはなくてはならない存在なのです。今後、蒸留酒を飲む機会があれば、その陰で活躍するチャージャーの存在に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。