不良臭

記事数:(1)

日本酒

お酒の気になる香り:木香様臭とは?

お酒を味わう時に、時折出会ってしまう望ましくない香りの一つに「木香様臭」というものがあります。これは、お酒造りの過程、特に微生物による発酵の段階で生まれる独特の香りで、時に製品の質を落とす原因となることがあります。「木香」という名前から、木の香りを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際の木の香りとは全く異なるものです。杉や檜といった木材を思わせる心地よい香りを木香と呼ぶ一方、木香様臭はどちらかと言うと、好ましくない臭いと感じられることが多く、この違いを理解しておくことが大切です。木香様臭の発生には、発酵に関わる微生物が作り出す様々な物質が複雑に関係しています。その中でも、特に「フェノール類」と呼ばれる一群の化合物が、木香様臭の主な原因物質として知られています。フェノール類は、微生物の種類や発酵時の温度、原料の組成など、様々な要因によって生成量が変化します。そのため、お酒造りにおいては、木香様臭の発生を抑えるための様々な工夫が凝らされています。例えば、発酵の温度を細かく調整したり、木香様臭を発生しにくい微生物を選んで使用したりするなど、造り手は常に細心の注意を払っています。また、原料となる穀物や果物の種類、栽培方法なども、最終的なお酒の香りに影響を与えるため、原料の選定にも気を配っています。木香様臭は、濃度が低い場合はあまり感じられませんが、濃度が高くなると、薬品のような独特の臭いとして認識されます。この臭いは、お酒の種類によっては許容される場合もありますが、一般的には好ましくない香りとして扱われます。消費者の立場からも、木香様臭といった香りの特性を知ることで、お酒の世界をより深く理解し楽しむことができるでしょう。自分の好みに合うお酒を見つけるためにも、様々な香りに意識を向けて、お酒を味わってみてください。