中国

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焼酎

麹菌の仲間、ケカビの世界

ケカビは、ムコールという仲間に分けられるカビの仲間です。空気中を漂う小さな種のようなもの(胞子)で増えていき、私たちの身の回りの様々な場所にいます。特に、湿気が多くジメジメした場所や、ご飯やパン、芋などのデンプンを多く含む食べ物は、ケカビにとって絶好の住処となります。ケカビは、細い糸のような細胞(菌糸)を伸ばして栄養を吸収して成長します。肉眼で見ると、綿のようなフワフワとした白い塊に見えますが、時間が経つにつれて、種(胞子)が増えて黒や灰色っぽく変化していきます。この種(胞子)は、風に乗って遠くまで運ばれ、新たな場所で再び芽を出します。ケカビは、自然界の掃除屋さんとも言える大切な役割を担っています。落ち葉や枯れ枝などを分解し、土に栄養を返すことで、植物の成長を助けています。また、私たちが食べる食品にも深く関わっています。例えば、中国で作られる麹(こうじ)は、ケカビの仲間を使って作られています。麹は、お酒や味噌、醤油など、様々な食品の製造に欠かせないものです。ケカビの種類はとても多く、その性質も様々です。中には、食べ物を腐らせたり、人によってはアレルギーを引き起こす種類もいるため注意が必要です。しかし、ほとんどのケカビは無害で、自然界のバランスを保つ上で重要な役割を果たしています。ケカビについて正しく知ることで、私たちの生活をより豊かに、そして安全に送ることができるでしょう。
焼酎

クモノスカビ:麹の世界を探る

麹とは、蒸した穀物に麹菌というカビの一種を繁殖させたものです。 麹は、まるで魔法の粉のように、日本の伝統的な発酵食品作りに欠かせない存在です。 日本酒、焼酎、味噌、醤油、甘酒、塩麹など、私たちの食卓を彩る様々な食品が、麹の力によって生まれています。麹菌は、蒸した穀物の中で生育しながら、穀物に含まれるでんぷんやたんぱく質を分解する働きをします。 まるで小さな職人さんたちが、大きな穀物の塊を細かく砕き、より小さな栄養素に変えているようなものです。 でんぷんは糖に、たんぱく質はアミノ酸などに分解されます。 こうして生まれた糖やアミノ酸は、発酵食品特有の甘みやうまみ、香りのもととなります。 例えば、日本酒のふくよかな味わい、醤油の複雑な香り、味噌の奥深いコクなどは、麹の働きによって生み出されているのです。麹の種類も様々です。代表的なものとしては、日本酒造りに用いられる黄麹菌、焼酎造りに使われる白麹菌、味噌や醤油に利用される米麹菌や麦麹菌などがあります。 それぞれの麹菌は、働く温度や湿度、生成する酵素の種類などが異なり、食品の種類や求める風味に合わせて使い分けられます。 まるで料理人が食材に合わせて調理法を変えるように、麹職人はそれぞれの食品に最適な麹菌を選び、丹精込めて麹を育てています。麹は、単に食品の製造を助けるだけでなく、食品の栄養価を高める役割も担っています。 麹菌が生成する酵素は、私たちの体にとっても有益な働きをします。 消化を助けたり、免疫力を高めたりする効果も期待されているため、麹は健康食品としても注目を集めています。 古くから日本の食文化を支えてきた麹は、現代社会においても、私たちの健康と豊かな食生活に大きく貢献しているのです。
その他

景徳鎮:白磁を生んだ街

江西省の北東部に位置する景徳鎮は、その名が示す通り、焼き物の都として千年の歴史を刻んできた街です。景徳鎮の焼き物は、長い歴史の中で培われた高い技術と、他に類を見ない独特の美しさで、世界中の人々を魅了し続けてきました。特に、景徳鎮で生まれた白い焼き物は、その透き通るような白さと繊細な作りで最高級品とされ、世界の焼き物文化に大きな影響を与えました。この街の歴史は古く、遠い昔に小さな集落として誕生しました。人々はそこで土をこね、火を使って焼き物を作り始めました。当初は日々の暮らしに使う素朴な器でしたが、技術の進歩とともに、より美しく、より精巧な焼き物が生み出されるようになりました。時の流れと共に、様々な模様や形が考案され、宮廷で使われるような高貴な焼き物も作られるようになりました。景徳鎮の焼き物の特徴は、何と言ってもその白い輝きです。この白を生み出すために、原料となる土の選定から、成形、焼き上げまで、全ての工程に熟練の技と細心の注意が払われています。高温の窯の中で、炎の熱と職人の技が融合し、まさに芸術品と呼ぶにふさわしい焼き物が誕生するのです。景徳鎮は、単に焼き物を生産する街ではなく、焼き物の歴史と文化が息づく街です。街の至る所で、窯の煙が立ち上り、土と炎の香りが漂います。焼き物を作る人、売る人、そして買う人、全ての人々が焼き物への深い愛情と敬意を持って暮らしています。この街を訪れれば、焼き物に込められた歴史と伝統の重みを肌で感じることができるでしょう。そして、その美しさに心を奪われることでしょう。