
ビール粕、ドラフの隠れた魅力を探る
ビールを造る際、麦芽から甘い汁を絞り取った後に残る麦芽の搾りかす。それがドラフと呼ばれるものです。ビールの生産量が増えれば増えるほど、このドラフも大量に生まれます。一見すると、ただの残りかす、不要なもののように思われがちですが、実は様々な形で活用されており、その隠れた魅力に注目が集まっています。ドラフの主原料は大麦です。大麦から糖分を抽出した後でも、食物繊維やたんぱく質、ミネラルなど、多くの栄養素が残っています。そのため、昔から家畜の飼料として広く使われてきました。牛や豚、鶏などの飼料に混ぜることで、家畜の健康維持や成長促進に役立っているのです。近年では、飼料としての利用だけでなく、食品への活用も研究が進められています。ドラフに含まれる食物繊維は、人の健康にも良い影響を与えることが知られています。パンやお菓子に混ぜ込んだり、麺の材料にしたりすることで、食物繊維を豊富に含んだ食品を作ることができます。また、ドラフ特有の香ばしさを活かして、スナック菓子の材料として利用する研究もされています。さらに、環境問題への意識の高まりから、ドラフをバイオ燃料や肥料に活用する研究も盛んに行われています。ドラフを発酵させてバイオガスを生成したり、堆肥化して畑の肥料にしたりすることで、廃棄物を減らし、資源を有効活用することに繋がります。このように、ビール造りの副産物と思われていたドラフは、様々な可能性を秘めた、まさに隠れた実力者と言えるでしょう。家畜の飼料から食品、バイオ燃料、肥料まで、幅広い分野での活用が期待され、持続可能な社会の実現にも貢献していくと考えられます。