単式蒸留

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焼酎

乙類焼酎の世界を探る

乙類焼酎とは、読んで字のごとく、発酵させた醪(もろみ)を単式蒸留器で一回だけ蒸留したお酒のことを指します。蒸留回数が一回のみであるため、原料となる米、麦、芋、黒糖などの風味や香りがしっかりと残るのが大きな特徴です。そのため、旧式焼酎や本格焼酎とも呼ばれ、お酒好きの中では親しまれています。乙類焼酎の魅力は、何と言ってもその味わいの多様性にあります。同じ芋焼酎であっても、例えば鹿児島県産のさつまいもと宮崎県産のさつまいもでは、土壌や気候の違いがさつまいもの風味に影響を与え、出来上がった焼酎の香りや甘み、後味に顕著な違いが現れます。また、同じ蔵元が同じ原料を用いても、使用する酵母の種類や蒸留方法、貯蔵方法を変えることで、それぞれ異なる個性を表現することができます。まるで職人が技を競い合うように、各蔵元が独自の工夫を凝らし、多種多様な焼酎が生まれているのです。乙類焼酎の世界は非常に奥深く、原料や製法だけでなく、飲み方によっても味わいが変化します。ストレートで素材本来の力強い風味を楽しむのも良いですし、ロックや水割りでまろやかな口当たりを味わうのもおすすめです。また、お湯割りで温めると香りが一層引き立ち、寒い季節には身体を温めてくれるでしょう。このように、様々な飲み方でそれぞれの個性を堪能できるのも、乙類焼酎の魅力の一つです。初めて乙類焼酎を飲む方は、色々な銘柄を飲み比べて、自分好みの味わいを見つけることから始めてみてはいかがでしょうか。きっと、あなたを魅了する一本との出会いがあるはずです。