
米の吸水率と酒造りの関係
酒造りは、まず米選びから始まります。良い酒を造るには、原料となる米の性質を深く理解することが大切です。米の性質を測る物差しのひとつに「吸水率」というものがあります。吸水率とは、白米を水に浸した時に、どれだけの水を吸うかを示す値です。この値は、日本酒の味わいに大きな影響を与えます。具体的な計算方法は次の通りです。まず、乾燥した白米の重さを量ります。次に、白米を水に浸し、一定時間置いて十分に水を吸わせた後、再び重さを量ります。そして、水に浸した後の重さと、元の乾燥した白米の重さの差を求めます。この差が、白米が吸った水の重さです。最後に、この吸った水の重さを、元の乾燥した白米の重さで割り、100を掛けると吸水率が算出されます。吸水率が高い米は、水をたくさん吸い込むため、柔らかく仕上がる傾向があります。一方、吸水率が低い米は、水をあまり吸い込まないので、硬く仕上がる傾向があります。酒造りでは、この吸水率を調整することで、目指す酒質に近づけていきます。例えば、柔らかくふくよかな味わいの酒を造りたい場合は、吸水率の高い米を選び、蒸米の時間を長くしたり、仕込み水を多くしたりします。逆に、すっきりとした軽快な味わいの酒を造りたい場合は、吸水率の低い米を選び、蒸米の時間を短くしたり、仕込み水を少なくしたりします。このように、吸水率は酒造りの工程において、重要な指標となるのです。米の吸水率を理解し、適切に管理することで、様々な味わいの日本酒を造り分けることができます。目指す酒質に合わせて、最適な吸水率の米を選び、仕込み方を調整することが、美味しい日本酒造りの第一歩と言えるでしょう。