
麹エキスの魅力を探る
麹エキスとは、日本の食文化を支える麹から生まれる、甘みとうまみが凝縮された液体です。米麹、麦麹、大豆麹など様々な麹を原料とすることができますが、ここでは米麹を例に説明します。まず蒸した米に麹菌を繁殖させた米麹を用意します。この米麹に水を加え、五十五度前後の温度でじっくりと時間をかけて糖化させます。この温度は、麹に含まれる酵素が最も活発に働く最適な温度です。麹の酵素は、米のデンプンをブドウ糖などの糖に変える働きを持ちます。この糖化の過程で、米麹のデンプンが分解され、甘い液体へと変化していきます。この生まれたばかりの甘い液体が麹エキスであり、麹汁とも呼ばれています。しかし、この時点ではまだ米麹の固形物が混ざっているため、濾過という工程が必要です。布や濾紙などを使い、固形物と液体を丁寧に分離します。こうして全ての工程を終え、ようやく澄んだ黄金色の麹エキスが完成します。麹エキスには、麹由来の様々な成分が豊富に含まれています。ブドウ糖などの糖分はもちろんのこと、ビタミンやアミノ酸、酵素なども含まれており、独特の風味と深いコクを与えます。そのため、甘酒や調味料、菓子など様々な食品の製造に利用されています。特に注目すべきは、麹エキスが微生物の栄養源となる点です。酵母などの微生物は、糖分をエネルギー源として増殖するため、糖分豊富な麹エキスは微生物の培養に最適な培地となります。味噌や醤油、日本酒など、日本の伝統的な発酵食品の製造において、麹エキスは微生物の活動を支える重要な役割を担っているのです。古くから受け継がれてきた麹の恵みが凝縮された麹エキスは、日本の食文化を支える大切な存在と言えるでしょう。