
酒米の秘密:心白米
日本酒を作るには、普段私たちが食べているお米とは違う、お酒専用の米を使います。これを酒米と呼びます。酒米は、いくつか特別な特徴を持っています。まず粒の大きさです。ご飯として食べるお米と比べて、酒米の粒は明らかに大きいです。そして、白く濁った中心部分があるのも大きな特徴です。これは心白と呼ばれ、お米の中心に丸や楕円の形で存在します。この心白は、日本酒造りにとってとても大切な要素です。心白は、デンプンのかたまりです。そのため、柔らかく、水をよく吸います。日本酒を作る工程では、米を蒸しますが、この時、心白が均一に蒸されることが重要になります。もし、心白がなく粒全体が硬い米粒だと、中心まで熱が通りにくく、ムラができてしまいます。また、外側だけが蒸されて中心部が生煮えの状態だと、雑味のあるお酒になってしまうのです。反対に、中心までしっかりと蒸された米からは、きれいな味わいの日本酒が生まれます。さらに、心白の大きさも重要です。心白が大きいほど、デンプンがたくさん含まれていることになります。デンプンは、麹菌や酵母の栄養源となるため、心白が大きいほど、お酒の原料となる糖分がたくさん作られるのです。つまり、心白が大きいほど、より多くの日本酒を作ることができます。美味しい日本酒は、まず質の良い酒米選びから始まると言っても言い過ぎではありません。酒米の粒の大きさ、そして心白の大きさ、質によって、日本酒の味わいは大きく左右されるのです。