早湧き

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日本酒

酒造りに欠かせない亜硝酸の役割

亜硝酸とは、窒素と酸素が結びついた化合物です。目には見えない小さな粒のようなものを想像してみてください。この粒は、窒素がひとつと酸素がふたつ、さらにマイナスの電気を帯びたものがくっついてできています。これを化学式で表すとNO₂⁻となります。水に大変溶けやすい性質を持っており、砂糖のように水にサッと溶けてなくなってしまう様子を思い浮かべてください。自然界では、空気中の窒素が姿を変える窒素循環という一連の流れの中で、土や水の中にごくわずかですが存在しています。この亜硝酸は、私たちの食べ物にも使われています。特に、ハムやソーセージといった加工肉をよく見てみてください。あの鮮やかなピンク色をしているのは、亜硝酸のおかげです。このピンク色を保つ効果があるため、食品添加物として使われています。また、食中毒の原因となる、ボツリヌス菌などの悪い菌が増えるのを防ぐ力も持っています。そのため、亜硝酸は食品の安全を守る上で重要な役割を担っていると言えるでしょう。しかし、亜硝酸をたくさん摂り過ぎると体に悪い影響が出る可能性も示唆されています。そのため、食品に使う量には厳しい決まりがあり、安全な範囲内で使用されています。お酒作りにおいても亜硝酸は大切な働きをしています。お酒の質を決める要素のひとつであり、亜硝酸があるかないかでお酒の味が大きく変わってくることもあります。美味しいお酒を造るために、蔵人たちは亜硝酸の量を注意深く管理しながら、日々お酒造りに励んでいます。