検蒸

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日本酒

酒造りの肝!検蒸とは?

美味しいお酒は、どのように造られるのでしょうか?そこには、米を洗い、蒸すといった基本的な作業から、麹を造り、発酵させるといった複雑な工程まで、様々な段階が存在します。そして、それぞれの段階で職人の経験と技術が活かされています。数ある工程の中でも、蒸し米の状態を確かめる「検蒸」は、その後の酒造りの流れを左右する重要な作業です。蒸した米の状態は、お酒の味わいに直結します。例えば、蒸し米が固すぎると、麹菌が米の中まで十分に繁殖せず、良い麹ができません。逆に、柔らかすぎると雑菌が繁殖しやすくなり、お酒の品質が落ちてしまいます。そこで、職人は「検蒸」によって、蒸し米の硬さ、温度、香りなどを五感を駆使して確認します。具体的には、蒸し上がった米を手に取り、指先で軽く押したり、鼻を近づけて香りを嗅いだりします。職人は長年の経験から、理想的な蒸し米の状態を熟知しており、わずかな違いも見逃しません。もし蒸し加減が不十分であれば、蒸時間を調整したり、蒸気の量を調節したりと、即座に対応します。まさに、職人の技と勘が試される瞬間です。一見地味で単純な作業に見える「検蒸」ですが、実は酒造りの成功を大きく左右する重要な工程なのです。この「検蒸」によって、最適な状態に蒸し上がった米は、その後、麹造りへと進みます。良質な麹は、お酒の香りを高め、深い味わいを生み出す源となります。美味しいお酒を味わう時、そこには「検蒸」という重要な工程を経て、職人の技と情熱が込められていることを思い出してみてください。きっと、お酒を味わう感動もひとしおになるはずです。