水処理

記事数:(2)

日本酒

お酒の味を守る粒状炭

粒状炭とは、お酒造りでなくてはならない精製剤です。様々な工程で使われ、お酒の質を高める上で重要な役割を担っています。粒状炭は、活性炭とも呼ばれ、その名の通り高い活性を持つ炭素の粒です。顕微鏡で見ると、無数の小さな穴が空いているのが分かります。この微細な穴が、不純物を吸着する鍵となっています。まるで小さなスポンジのように、水やお酒の中に含まれる様々な物質を吸い込み、閉じ込めるのです。仕込み水や割水といった、お酒造りに欠かせない水の精製に粒状炭は活躍します。水に含まれる不純物や臭いのもととなる物質を取り除き、純度の高い水を作り出すことができます。これにより、雑味のないすっきりとした味わいの酒を生み出すことができるのです。お酒そのものの精製にも粒状炭は用いられます。お酒に含まれる不要な色素や臭い成分を吸着し、透明感のある美しい色合いと、雑味のないクリアな味わいを実現します。また、お酒の香味を調整する際にも粒状炭は力を発揮します。特定の成分を吸着することで、目指す香味バランスに近づけることができるのです。さらに、粒状炭には、火落菌の繁殖を抑える効果も期待できます。火落菌は、清酒などに含まれる糖分を分解し、火落ち香と呼ばれる独特の臭みを発生させる細菌です。この火落菌の繁殖を抑えることで、お酒の品質劣化を防ぎ、長持ちさせることができます。このように、粒状炭は、水の精製からお酒の香味調整、品質保持まで、様々な場面で活躍する、お酒造りに欠かせない存在と言えるでしょう。
日本酒

お酒とイオン交換樹脂:その隠れた役割

イオン交換樹脂とは、水溶液中のイオンを取り除いたり、置き換えたりする小さな粒状の物質です。顕微鏡で見ると、無数の微細な穴が開いたスポンジのような構造をしています。この穴の中には、特定のイオンと結合しやすい特別な「場所」が備わっており、この場所を官能基と呼びます。イオン交換樹脂は、大きく分けて陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の二種類があります。陽イオン交換樹脂は、水素イオンやナトリウムイオン、カルシウムイオンなど、プラスの電気を帯びたイオンを吸着し、代わりに別の陽イオンを放出します。一方、陰イオン交換樹脂は、塩化物イオンや水酸化物イオンなど、マイナスの電気を帯びたイオンを吸着し、別の陰イオンを放出します。まるで磁石のように、プラスとマイナスで引き合う性質を利用して、水の中に溶けている様々なイオンを捕まえたり、交換したりするのです。さらに、陽イオンと陰イオンの両方を交換できる両性イオン交換樹脂も存在します。これらの樹脂は、用途に合わせて様々な種類が開発されており、例えば、水中のカルシウムイオンやマグネシウムイオンを除去することで水の硬度を下げる、特定の金属イオンを回収する、あるいは不要なイオンを取り除いて純水を作るなど、幅広い分野で活用されています。お酒造りにおいても、酒質の調整や雑味の除去など、イオン交換樹脂は欠かせない存在となっています。仕込み水から不要な成分を取り除き、まろやかな口当たりにしたり、特定の香りを強調したりと、職人が求める味わいを作り出すために、イオン交換樹脂は重要な役割を担っているのです。