
水四段:日本酒造りの奥深さを探る
お酒造りの世界では、醪(もろみ)を造る最後の段階である留仕込みの後に行う水の添加を水四段と呼びます。留仕込みとは、三段仕込みと呼ばれる工程の最終段階で、蒸した米、麹、仕込み水というお酒造りの主要材料をすべて加えて、醪を完成させる工程です。この留仕込みが完了した後、さらに水を加える工程があり、これを水四段と呼ぶのです。お酒は、米、米麹、水という簡素な材料から造られますが、その製造工程は非常に複雑で、各工程に繊細な技術と長年の経験が必要です。水四段もまた、お酒の味わいを左右する重要な工程の一つです。一見すると、ただ水を足すだけの単純な作業に思えるかもしれませんが、加える水の量や温度、そして加えるタイミングによって、最終的に出来上がるお酒の風味や香りが大きく変わります。例えば、水の量が多すぎると、お酒の味が薄くなってしまい、香りが弱くなります。逆に水の量が少なすぎると、お酒の味が濃くなりすぎて、雑味が出てしまうこともあります。また、水の温度も重要です。冷たすぎる水を加えると、醪の温度が下がり発酵が鈍くなり、温かすぎる水を加えると、雑菌が繁殖しやすくなってしまいます。このように、水四段は、お酒の味わいを最終的に調整する重要な工程と言えるでしょう。杜氏(とうじ)は長年の経験と勘、そして醪の状態を注意深く観察しながら、最適な水の量、温度、タイミングを見極め、水四段を行います。まさに、杜氏の腕の見せ所と言えるでしょう。この繊細な作業こそ、銘酒を生み出す秘訣の一つと言えるのかもしれません。