
お酒造りの立役者、アミラーゼの働き
アミラーゼは、穀物やいも類などに含まれるでんぷんを分解する、酵素の総称です。 でんぷんは、多数のぶどう糖がつながった構造を持つ、高分子化合物です。植物は、光合成によって作り出したぶどう糖をでんぷんの形で種子や根などに蓄えています。私たちにとって身近なご飯やパン、いも類などは、このでんぷんを豊富に含んでいます。アミラーゼは、この大きなでんぷん分子を、より小さな糖類に分解する役割を担っています。 つまり、アミラーゼは、私たちがでんぷんを消化吸収する上で、なくてはならない存在なのです。アミラーゼは大きく分けて、α-アミラーゼとβ-アミラーゼの二つの種類があります。α-アミラーゼは、でんぷんを内部からランダムに切断していくため、液化型アミラーゼとも呼ばれます。このα-アミラーゼの働きによって、でんぷんは急速に分解され、粘り気が少なくなっていきます。ご飯をかみ続けると甘みが増すのは、だ液に含まれるα-アミラーゼがでんぷんを分解し、麦芽糖などの糖類を作り出すからです。一方、β-アミラーゼは、でんぷんの鎖を端から順にぶどう糖が二つくっついた麦芽糖に分解していきます。そのため、糖化型アミラーゼとも呼ばれます。β-アミラーゼは、α-アミラーゼに比べて作用する速度は遅いものの、最終的にぶどう糖が二つくっついた麦芽糖を作り出すことから、甘みの生成に大きく関わっています。この二つのアミラーゼは、それぞれ異なる性質を持つため、食品加工や醸造など、様々な分野で利用されています。 例えば、パン作りにおいては、小麦粉に含まれるでんぷんをアミラーゼが分解することで、パン生地が柔らかくなり、ふっくらとした仕上がりになります。また、日本酒の製造過程では、米のでんぷんをアミラーゼによって糖化することで、アルコール発酵に必要な糖分を得ています。このように、アミラーゼは私たちの食生活を支える、重要な役割を担っているのです。