涼冷え

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日本酒

日本酒の涼冷え:夏の楽しみ

「涼冷え」とは、日本酒を味わうための温度帯の一つで、摂氏十五度前後を指します。冷蔵庫で冷やしすぎるのではなく、ほんのりとした冷たさを楽しむことで、日本酒本来の繊細な持ち味を最大限に引き出すことができるのです。冷たすぎると、せっかくの香りが閉じてしまい、奥深い味わいも感じにくくなります。一方、ぬるくなってしまうと、香りが立ちすぎたり、雑味が出てきてしまい、本来のバランスが崩れてしまいます。その点、涼冷えは、香りと味のバランスが最も取れた状態と言えるでしょう。冷たすぎず、温すぎない、程よい温度帯だからこそ、日本酒の繊細な風味や旨味を存分に堪能できるのです。夏の暑い時期には、キリッと冷えた飲み物が欲しくなりますが、日本酒を冷蔵庫でキンキンに冷やしてしまうのは少々もったいない。涼冷えで頂けば、夏の暑さを和らげつつ、日本酒本来の風味を損なうことなく楽しむことができるのです。例えば、軽快な味わいの吟醸酒や大吟醸酒などは、涼冷えにすることで、より一層爽やかな風味を味わうことができます。涼冷えにするためには、冷蔵庫で冷やしすぎないことが大切です。常温の日本酒を冷蔵庫に入れる場合は、一時間程度で取り出すと良いでしょう。また、氷水に浸けて冷やす方法もありますが、この場合は、五分から十分程度で十分です。冷やしすぎに注意し、日本酒の最適な温度帯を保つことで、より美味しく、より深く、日本酒の世界を堪能することができるでしょう。涼冷えは、日本酒を美味しく飲むための、まさに「涼」を「冷え」で楽しむ、日本の夏の知恵と言えるでしょう。