清酒粕

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日本酒

お酒づくりのもと:原料用アルコール

原料用アルコールとは、お酒を造る際、ベースとなるアルコールのことです。お酒によって、使うアルコールの種類や造り方が細かく決められています。これは、お酒の質や安全を守るためだけでなく、お酒に関する法律に基づいてきちんと税金を納めるためにも大切なことです。原料用アルコールは、そのまま飲むためのものではなく、お酒造りの過程で加えるものです。たとえば、一部の日本酒やリキュールなどに使われています。梅酒などを自分で造るときに使うホワイトリカーも、広い意味では原料用アルコールの一種と言えるでしょう。ただし、ホワイトリカーは酒税法上は「焼酎」に分類され、市販のホワイトリカーは既に完成したお酒であるという点で、今回説明する原料用アルコールとは少し違います。原料用アルコールは、糖蜜や穀物などを発酵させて造られます。その後、蒸留という工程を経てアルコール度数を高めます。蒸留とは、液体を沸騰させて気体にし、それを再び冷やして液体に戻すことで、特定の成分を濃縮する技術です。お酒の種類によって、使う原料や蒸留方法が細かく決められています。例えば、米を原料とした日本酒には、米を原料としたアルコールを使うといった具合です。原料用アルコールは、お酒の風味や香りに影響を与えないように、純度の高いものが求められます。雑味や香りが強いと、せっかくの日本酒やリキュールの持ち味を損ねてしまうからです。また、人体に有害な物質が含まれていないか、厳しく検査されています。安全なお酒を造るためには、原料用アルコールの品質管理が欠かせないのです。お酒の種類ごとに異なる原料や造り方が定められているため、原料用アルコールもそれぞれの基準を満たしたものでなければなりません。お酒造りは、原料や製法など、様々な要素が複雑に絡み合って完成する、繊細な作業と言えるでしょう。
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酒粕の比率:粕歩合を知る

お酒を造る際に、蒸したお米を原料として使います。そのお米からお酒をしぼった後に残るのが酒粕です。この酒粕の量がお米の量と比べてどれくらいかを表すのが粕歩合です。粕歩合は、使ったお米の重さを基準にして、酒粕がどれだけの重さになったかを割合で表します。普通は百分率を使って表します。例えば、100キロのお米から25キロの酒粕が出た場合は、粕歩合は25%になります。この数値は、お酒の種類によって大きく変わります。お酒を造る蔵元では、この粕歩合を大切な目安の一つとしています。なぜなら、粕歩合はお酒造りの効率やお酒の性質に大きく関わっているからです。粕歩合が高い、つまり酒粕がたくさん出るということは、それだけお酒になる部分が少ないということになります。ですから、粕歩合を調整することで、お酒の量や質を左右することができるのです。粕歩合を決める要素は様々です。まず、お酒造りに使うお米の種類によって、粕の出方が変わります。粒の大きいお米は、小さいお米よりも粕歩合が高くなる傾向があります。また、お酒を造る方法によっても粕歩合は変わります。例えば、丁寧に時間をかけてお酒をしぼると、粕歩合は低くなります。逆に、早くしぼると粕歩合は高くなります。さらに、蔵元がどんなお酒を造りたいかによっても、粕歩合を調整します。例えば、濃厚な味わいを目指す場合は、粕歩合を高く設定することがあります。このように、粕歩合は、お酒造りの複雑さを知る上でとても重要な要素です。お酒の種類によって粕歩合が異なることを知っていれば、お酒を飲む際に、造り手の工夫をより深く味わうことができるでしょう。