清酒酵母

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日本酒

ガラクトース:知られざる糖の世界

糖は、私たちが生きていく上で欠かせない大切な栄養素です。活動するためのエネルギー源となるだけでなく、食べ物に甘みを与え、より美味しく感じさせてくれます。この糖には、いくつかの種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。大きく分けると、単糖類、二糖類、そして多糖類の三つに分類されます。単糖類とは、糖の最小単位で、これ以上分解できないものです。ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、そして今回注目するガラクトースなどがこの単糖類に含まれます。ブドウ糖は、脳や筋肉の主要なエネルギー源であり、果糖は果物などに多く含まれ、甘みが強いのが特徴です。二糖類は、二つの単糖類が結びついてできたものです。身近なものでは、砂糖の主成分であるショ糖(スクロース)や、牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)などがあります。ショ糖は、ブドウ糖と果糖が結合したもので、甘味料として広く使われています。乳糖は、ブドウ糖とガラクトースが結合したもので、乳児の成長に欠かせない栄養素です。そして、多糖類は、たくさんの単糖類が鎖のようにつながったものです。米や芋などに含まれるデンプン、植物の細胞壁を構成するセルロースなどがこの多糖類に分類されます。デンプンは、私たちにとって重要なエネルギー源であり、セルロースは食物繊維として腸の働きを助けてくれます。このように、様々な種類の糖が存在し、それぞれ異なる役割を担っています。中でもガラクトースは、あまり聞き馴染みのない名前かもしれませんが、実は母乳や乳製品に含まれる乳糖の構成成分として、乳児の成長に欠かせない重要な役割を担っています。また、脳や神経組織の発達にも関与していると考えられており、今後の研究にも注目が集まっています。
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β-アラニン培地:きょうかい7号酵母の純度検定

きょうかい7号酵母は、日本酒造りに欠かせない、いわば名脇役のような存在です。吟醸香と呼ばれる、果実や花を思わせる華やかな香りを生み出す能力に長けており、その香りは日本酒の魅力を大きく引き立てます。この酵母は、正式には「きょうかい7号酵母」と呼ばれますが、一般的には「協会7号」と略されることも多く、日本酒業界では知らない人はいないほど広く知られています。数多くの日本酒の銘柄がこの酵母を用いて造られており、その味わいは多種多様。中には、この酵母の特性を最大限に活かすことで、他に類を見ない独特の風味を醸し出す銘柄も存在します。きょうかい7号酵母がこれほどまでに広く使われている理由は、その優れた発酵能力と、安定した品質にあります。同じ条件で仕込みを行えば、ほぼ同じように発酵が進むため、酒造りの上で非常に扱いやすい酵母と言えるでしょう。しかし、どんなに優れた酵母であっても、他の微生物が混入してしまうと、本来の香りが損なわれたり、味が変化したりする可能性があります。そのため、きょうかい7号酵母の純度を保つことは、高品質な日本酒を造る上で非常に重要です。そこで登場するのが「β-アラニン培地を用いた純度検定」です。これは、きょうかい7号酵母だけが生育できる特殊な培地を用いて、他の微生物が混ざっていないかを調べる方法です。この検定によって、酵母の純度を厳しく管理することで、私たちがいつも飲んでいる日本酒の品質が保たれているのです。まさに、縁の下の力持ちと言えるでしょう。