炭臭

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日本酒

お酒の濾過臭:その原因と対策

お酒造りにおいて、透明感とまろやかな口当たりを実現するために、濾過という工程は欠かせません。濾過は、お酒に含まれるにごりや不要な成分を取り除き、見た目にも美しい仕上がりをもたらす重要な役割を担っています。しかし、この濾過の過程で、時に「濾過臭」と呼ばれる特有の臭いが発生することがあります。これは、濾過に用いる濾材の臭いがお酒に移ってしまう現象で、せっかく丹精込めて醸造したお酒の風味を損ねてしまう原因となります。濾過臭には様々な種類があり、使用する濾材によってその特徴も異なります。例えば、紙を濾材として使用した場合に発生しやすいのが「濾紙臭」です。これは、まるで紙のような乾いた臭いがお酒に付いてしまう現象で、繊細な味わいを求めるお酒にとっては致命的です。また、活性炭などを濾材に用いると、「炭臭(すみしゅう)」と呼ばれる、炭を焼いたような焦げた臭いが発生する可能性があります。この臭いは、お酒本来の香りを覆い隠し、飲み手の印象を大きく左右してしまうため、注意が必要です。濾過臭の発生は、濾材の種類だけでなく、濾過の速度や温度、お酒の種類によっても影響を受けます。例えば、濾過の速度が速すぎると、濾材とお酒の接触時間が短くなり、十分な濾過効果が得られないばかりか、濾過臭のリスクを高める可能性があります。また、温度が高いほど臭い成分が揮発しやすいため、濾過臭が発生しやすい環境と言えるでしょう。濾過臭を防ぐためには、濾材の選択、濾過の速度や温度の調整など、細心の注意が必要です。また、濾過の前に、お酒を静置して自然に沈殿させることで、濾過の負担を軽減し、濾過臭の発生を抑える効果も期待できます。濾過臭は、お酒の品質を大きく左右する重要な要素です。濾過臭の原因を理解し、適切な対策を講じることで、お酒本来の風味を最大限に引き出し、消費者に最高の味わいを提供することが大切です。
焼酎

お酒の炭臭:その正体と対策

お酒を味わう時に、時折焦げたような、あるいは煙っぽい香りが鼻につくことがあります。これがいわゆる炭臭と呼ばれるものです。お酒本来の風味を損ない、せっかくの楽しみを台無しにしてしまう厄介な香りです。この炭臭、一体どのようなものが原因で発生するのでしょうか。大きく分けて、お酒の製造段階と保管段階での原因が考えられます。まず、製造工程における炭臭の原因を見てみましょう。お酒造りにおいて、活性炭ろ過は広く用いられる手法です。活性炭は不純物を取り除き、お酒の色や香りを調整するのに役立ちますが、質の悪い活性炭を使用したり、あるいは必要以上にろ過を行うと、炭の風味が強く残りすぎてしまい、炭臭として感じられることがあります。まるで焦げ付いた鍋のような香りがお酒に移ってしまうのです。次に、保管段階での原因についてです。お酒は周囲の環境の影響を受けやすいものです。例えば、炭を燃料とする暖房器具の近くや、備長炭などを置いている場所で保管すると、その臭いを吸収してしまうことがあります。また、木製の樽で熟成させたお酒の場合、樽の焼き加減が強すぎると炭臭がつくことがあります。さらに、冷蔵庫の中に活性炭の脱臭剤と一緒にお酒を保管した場合も、お酒に炭臭が移ってしまう可能性があります。このように、保管場所の環境にも注意が必要です。炭臭を避けるためには、品質の高いお酒を選ぶことが大切です。信頼できる酒蔵のお酒を選ぶことで、製造段階での炭臭のリスクを減らすことができます。また、保管場所にも気を配り、炭の臭いがするものの近くは避け、適切な温度と湿度で保管するようにしましょう。少しでも炭臭を感じたら、早めに飲み切るのも一つの方法です。せっかくのお酒を美味しく楽しむためにも、炭臭への理解を深め、適切な対策を心がけましょう。