焼酎乙類

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日本酒

お酒づくりのもと:原料用アルコール

原料用アルコールとは、お酒を造る際、ベースとなるアルコールのことです。お酒によって、使うアルコールの種類や造り方が細かく決められています。これは、お酒の質や安全を守るためだけでなく、お酒に関する法律に基づいてきちんと税金を納めるためにも大切なことです。原料用アルコールは、そのまま飲むためのものではなく、お酒造りの過程で加えるものです。たとえば、一部の日本酒やリキュールなどに使われています。梅酒などを自分で造るときに使うホワイトリカーも、広い意味では原料用アルコールの一種と言えるでしょう。ただし、ホワイトリカーは酒税法上は「焼酎」に分類され、市販のホワイトリカーは既に完成したお酒であるという点で、今回説明する原料用アルコールとは少し違います。原料用アルコールは、糖蜜や穀物などを発酵させて造られます。その後、蒸留という工程を経てアルコール度数を高めます。蒸留とは、液体を沸騰させて気体にし、それを再び冷やして液体に戻すことで、特定の成分を濃縮する技術です。お酒の種類によって、使う原料や蒸留方法が細かく決められています。例えば、米を原料とした日本酒には、米を原料としたアルコールを使うといった具合です。原料用アルコールは、お酒の風味や香りに影響を与えないように、純度の高いものが求められます。雑味や香りが強いと、せっかくの日本酒やリキュールの持ち味を損ねてしまうからです。また、人体に有害な物質が含まれていないか、厳しく検査されています。安全なお酒を造るためには、原料用アルコールの品質管理が欠かせないのです。お酒の種類ごとに異なる原料や造り方が定められているため、原料用アルコールもそれぞれの基準を満たしたものでなければなりません。お酒造りは、原料や製法など、様々な要素が複雑に絡み合って完成する、繊細な作業と言えるでしょう。
焼酎

熟成の妙、泡盛の古酒

泡盛は、日本の南に浮かぶ温暖な沖縄県で古くから作られてきた蒸留酒です。その歴史は深く、15世紀頃にタイのシャム王国から伝わった蒸留技術をもとに、沖縄独自の製法で発展してきたと言われています。泡盛の原料は、タイ米の中でもインディカ種と呼ばれる細長い粒のお米です。このお米は、粘り気が少なく、蒸留に適していることから選ばれています。泡盛作りで最も重要な要素の一つが黒麹菌です。黒麹菌は、クエン酸を多く作り出す性質があり、これが泡盛独特の芳醇な香りと風味を生み出します。沖縄の気候風土に適応した黒麹菌は、泡盛の味わいを決定づける重要な役割を担っています。泡盛の仕込み方は「全麹仕込み」と呼ばれ、蒸留する醪(もろみ)に全ての麹を使う独特の製法です。一般的な焼酎では、麹と蒸した米を混ぜて仕込みますが、泡盛は米麹のみで仕込みます。そのため、泡盛は濃厚で複雑な風味を持ち、他の焼酎とは一線を画す個性を持ちます。蒸留された泡盛は無色透明ですが、熟成させることで琥珀色に変化し、さらにまろやかで深い味わいになります。3年以上熟成させた泡盛は「古酒(クース)」と呼ばれ、珍重されています。泡盛は、沖縄料理との相性も抜群です。豚の角煮やラフテーなどの脂っこい料理との組み合わせは、泡盛のふくよかな味わいをさらに引き立てます。また、水割り、お湯割り、ロックなど、様々な飲み方で楽しむことができます。沖縄の長寿の秘訣として、泡盛の適度な飲酒は健康維持にも良い影響を与えている、と古くから言われています。泡盛は、沖縄の文化、歴史、そして人々の生活に深く根ざした、まさに命の水と言えるでしょう。
焼酎

奥深い本格焼酎の世界

本格焼酎とは、単式蒸留焼酎の別名で、お米、麦、芋、そば、黒糖など、自然の恵みから生まれた原料を用いて造られます。昔ながらの単式蒸留器を使って、丁寧に蒸留することで、原料本来の風味や香りがしっかりと残るお酒です。蒸留の際に用いるのは、単式蒸留法と呼ばれる方法です。これは、原料を発酵させたもろみを一度だけ蒸留する製法で、原料の個性が際立つ仕上がりになります。同じ原料を使っても、産地や麹の種類、酵母の種類、蒸留方法、貯蔵・熟成方法など、様々な要素が味わいに影響を与えます。そのため、銘柄ごとに個性豊かな風味や芳香が生まれ、多様な味わいを楽しむことができます。例えば、お米を原料とした焼酎は、すっきりとした飲み口と上品な香りが特徴です。麦を原料とした焼酎は、軽やかな味わいと香ばしい香りが楽しめます。芋を原料とした焼酎は、濃厚な風味と力強い香りが特徴で、芋の種類によって甘みや香りの強さが大きく異なります。そばを原料とした焼酎は、独特の風味と香りが特徴です。黒糖を原料とした焼酎は、まろやかな甘みとコクのある風味が特徴で、南国の温暖な気候で育まれた黒糖の味わいを存分に楽しめます。このように、本格焼酎は、造り手の技とこだわりが詰まった、奥深い味わいの世界が広がっています。原料や製法の違いによる多様な風味を、じっくりと堪能してみてください。それぞれの銘柄が持つ個性的な香りと味わいを、お好みの飲み方で楽しむのも良いでしょう。ロック、水割り、お湯割りなど、様々な飲み方で、本格焼酎の魅力を存分に味わうことができます。
焼酎

奥深い混和焼酎の世界

混和焼酎とは、連続式蒸留機を用いて造られる焼酎甲類と、単式蒸留機を用いて造られる焼酎乙類を混ぜ合わせた焼酎のことです。それぞれの持ち味を組み合わせることで、新たな味わいを作り出しています。まず、焼酎甲類は、連続式蒸留機で繰り返し蒸留を行うため、高いアルコール度数と純粋な味わいが特徴です。クセがないため、どんな飲み方にも合い、すっきりとした飲み口を楽しめます。まるで澄み切った水のようで、雑味のないピュアな味わいと言えるでしょう。一方、焼酎乙類は、単式蒸留機で一回のみ蒸留を行うため、原料である米、麦、芋などの風味や香りが豊かに残ります。原料によって、甘み、辛み、香りなどが異なり、奥深く複雑な味わいを持ちます。まるで、大地の恵みそのものを味わっているかのような、滋味深い感覚を味わうことができます。この二つの個性の異なる焼酎をブレンドすることで、それぞれの長所を生かした混和焼酎が生まれます。焼酎甲類のすっきりとした飲みやすさと、焼酎乙類の豊かな香りが見事に調和し、絶妙なバランスの味わいとなります。それぞれの割合を変えることで、様々な風味を表現することができ、飲み手の好みに合わせた多様な商品が造られています。このように、混和焼酎は、二つの焼酎の長所を巧みに組み合わせ、幅広い味わいを提供しています。そのため、多くの人に親しまれ、様々な場面で楽しまれているお酒と言えるでしょう。
焼酎

奥深い単式蒸留焼酎の世界

単式蒸留焼酎は、日本の長い歴史の中で育まれてきた、伝統あるお酒です。その歴史は、蒸留技術が大陸から伝わってきた室町時代後期にまで遡ります。蒸留酒が初めて造られた頃は、米を原料としたものがほとんどでした。米焼酎は、当時の技術と原料の入手しやすさから広く造られるようになり、人々の暮らしに欠かせないものとなっていきました。時代が進むにつれて、蒸留技術も発展し、米以外の原料を用いた焼酎造りも始まりました。麦や芋、そば、黒糖など、各地の特産品を活かした焼酎が各地で造られるようになったのです。それぞれの原料は、それぞれ異なる風味や香りを持っています。米焼酎はすっきりとした味わいが特徴ですが、麦焼酎は芳醇な香りが楽しめます。芋焼酎は濃厚な甘みと独特の風味があり、そば焼酎は繊細な味わいです。黒糖焼酎はコクのある甘みが特徴です。このように多様な原料と製法によって、様々な味わいの焼酎が楽しめるようになりました。原料の持ち味を最大限に引き出す伝統的な製法は、時代を経ても大切に受け継がれています。単式蒸留焼酎は、原料を一度だけ蒸留する製法で造られます。この製法により、原料本来の風味や香りが凝縮され、奥深い味わいが生まれます。大量生産が可能な連続式蒸留焼酎とは異なり、単式蒸留焼酎は、手間暇かけて丁寧に造られます。じっくりと熟成させることで、まろやかで深みのある味わいに仕上がります。このように、単式蒸留焼酎は、日本の風土と歴史、そして職人たちの技術によって育まれてきました。現在でも、地域ごとの特色を活かした様々な焼酎が造られており、日本の食文化に欠かせない存在となっています。四季折々の料理と共に、多様な味わいをぜひ楽しんでみてください。