
日本酒の温度、人肌燗の魅力を探る
人肌燗とは、日本酒を温めて飲む燗酒の一種で、体温に近い35度前後に温めたお酒のことです。まるで人の肌に触れた時のような、ほんのりとした温かさが名前の由来となっています。温度で分類すると、低い方から順に冷酒、人肌燗、ぬる燗、上燗、熱燗と分けられます。人肌燗は冷酒よりも温かく、ぬる燗よりも低い、絶妙な温度帯にあります。この温度帯は、日本酒の持つ香りと味わいの均衡が最も良く取れる温度と言われています。冷酒では感じ取れない奥深い香りを引き出しつつ、熱燗では飛んでしまう繊細な風味も保つことができるのです。キンと冷えた冷酒のようなすっきりとした飲み口と、温かい燗酒のような柔らかな口当たり。人肌燗は、この両方の良いところを同時に味わうことができる、他に類を見ない独特の飲み方です。冷酒では隠れていた米の旨味や甘味が感じられるようになり、同時に日本酒本来の風味も際立ちます。特に、香りの高い大吟醸や繊細な味わいの吟醸酒などは、人肌燗にすることでより一層その個性を発揮します。少し温めるだけで、こんなにも味わいが変化する日本酒の奥深さを、ぜひ人肌燗で体験してみてください。