留麹

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日本酒

酒造りの肝、留麹とは?

お酒造りに欠かせない麹。その種類について詳しく見ていきましょう。醪の仕込み工程の違いによって、添え麹、中麹、留め麹の三種類に分けられます。これらをまとめて留め麹と呼ぶこともあり、それぞれの仕込み段階で重要な役割を担っています。まず、最初の仕込み、添え仕込みには添え麹が使われます。添え麹は、蒸した米に最初に加える麹で、少量ながらも醪全体の酛(もと)となる重要な役割を果たします。力強い発酵力を持ち、雑菌の繁殖を抑える働きも期待されます。そのため、質の良いしっかりとした麹作りが求められます。低温でじっくりと時間をかけて育て、酵素力が高いのが特徴です。この添え麹によって、後の仕込みが順調に進む土台が作られます。次に、二番目の仕込みである仲仕込みには中麹が用いられます。添え仕込みでゆっくりと発酵が始まった醪に、蒸米と中麹、仕込み水を追加します。中麹は、添え麹で増えた酵母や乳酸菌の働きをさらに活発化させる役割を担います。添え麹に比べて量も多くなり、醪の温度管理も重要になります。中麹もまた、雑菌の繁殖を防ぎ、安定した発酵を促すために、質の高い麹作りが求められます。そして最後の仕込み、留め仕込みには留め麹が加えられます。留め仕込みは、醪の量を最終的な量まで増やす工程で、留め麹は、この大量の醪全体で安定した発酵を維持する役割を担います。これまでの仕込みで培われた酵母や乳酸菌の働きを最大限に引き出し、お酒の香味を決定づける重要な工程です。留め麹もまた、高い酵素力と安定した品質が求められます。このように、添え麹、中麹、留め麹は、それぞれ異なる役割を担い、醪の段階的な発酵を支えています。それぞれの麹の特性を理解することで、日本酒造りの奥深さ、そして多様な味わいが生まれる理由が見えてきます。
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日本酒造りにおける掛麹の役割

お酒造りにおいて、蒸した米、麹、そして水を混ぜ合わせて発酵させたものを醪(もろみ)と言います。この醪は、お酒の味わいを決める大切な要素です。醪の仕込みは、一度に全てを行うのではなく、複数回に分けて行う「三段仕込み」という方法がとられます。この三段仕込みの各段階で加える麹を、総称して掛麹と呼びます。掛麹は、お酒造りにおいて、蒸米のデンプンを糖に変える糖化を進める重要な役割を担っています。麹に含まれる酵素の働きによって、デンプンが糖に変わるこの工程は、お酒の甘みや味わいの根幹を成すものです。この糖は、後に酵母の働きでアルコールへと変わっていきます。掛麹の質や種類によって、出来上がるお酒の風味や香りが大きく左右されます。例えば、麹の種類によって、お酒は華やかな香りになったり、落ち着いた風味になったりします。また、掛麹の量によっても、お酒の甘さや濃さが調整されます。お酒造りの責任者である杜氏は、その年の米の状態や、目指すお酒の質に合わせて、掛麹の種類や量を細かく調整します。長年の経験と勘、そして深い知識に基づいて、最適な掛麹を選び、最高の醪を作り上げるのです。このように、掛麹は、お酒造りの過程で非常に重要な役割を果たしており、杜氏の技が光る部分と言えるでしょう。
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酒造りの肝、添麹とは?

日本酒は、米と水、そして麹を原料として造られる醸造酒です。この三つの原料の中で、麹は日本酒造りに欠かせない役割を担っています。麹とは、蒸した米に麹菌という微生物を繁殖させたもので、米に含まれるデンプンを糖に変える力を持っています。この糖が、酵母の働きによってアルコールに変化することで、日本酒特有の風味や香りが生まれます。今回の記事では、日本酒造りにおいて重要な工程の一つである「添麹」について詳しく解説します。添麹とは、日本酒造りの初期段階で、蒸米、水、麹を混ぜ合わせる工程を指します。蒸米に麹を加えることで、麹に含まれる酵素が米のデンプンを糖に変える反応が始まります。この工程は、日本酒の味わいを大きく左右する重要な工程です。添麹は、一度に大量の麹を加えるのではなく、数回に分けて少量ずつ加えていきます。この作業を「三段仕込み」と言い、一回目の添麹を「初添え」、二回目を「仲添え」、三回目を「留添え」と呼びます。それぞれの段階で温度や時間管理を徹底することで、雑菌の繁殖を抑え、良質な日本酒を造るために必要な環境を整えます。三段仕込みは、それぞれの段階で目的が異なります。初添えは、麹菌の繁殖を促すための環境作りが目的です。仲添えは、糖化を進め、アルコール発酵を促すことが目的です。そして留添えは、醪の温度を調整し、発酵を安定させることが目的です。このように、三段仕込みによって、徐々に醪の量を増やしつつ、発酵に必要な環境を整えていきます。添麹は、日本酒の品質を左右する非常に重要な工程であり、杜氏の経験と技術が試される工程と言えるでしょう。次回の記事では、添麹後の工程である「酛(もと)」について解説します。酛とは、酵母を純粋培養するための工程であり、添麹と同様に日本酒造りにおいて重要な役割を担っています。どうぞお楽しみに。
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酒造りの心臓部、仲麹とは?

酒造りには欠かせない麹。米のデンプンを糖に変える力を持つため、日本酒の甘みを生み出すには無くてはならない存在です。この麹ですが、実は醪(もろみ)の仕込み工程で使われるものだけでも、添麹(そえこうじ)、仲麹(なかこうじ)、留麹(とめこうじ)の三種類があります。それぞれ、添仕込み、仲仕込み、留仕込みに用いられます。まず添仕込みとは、酒母と呼ばれる酒のもとに、蒸米、麹、水を仕込む最初の工程のことです。ここで使われるのが添麹です。最初に力強く糖化を進める必要があるので、酵素力価の高い麹が選ばれます。次に仲仕込み。これは、添仕込みの後に、さらに蒸米、麹、水を追加していく工程です。ここで使うのが仲麹です。醪の量が増えるため、安定した発酵を促す役割があります。最後に留仕込み。これは醪の仕込みの最終段階で、留麹を用います。ここで加える蒸米、麹、水は最も量が多く、醪全体の品質を左右する重要な工程です。留麹は、これまでの工程で造られた醪の状態に合わせて、最適なものが選ばれます。これらの麹は、米の品種や精米歩合、製麹方法などによって、それぞれ酵素力価や溶解性などが異なります。酒蔵によっては、同じ原料米を使いながらも、製麹の温度や時間を調整することで、それぞれの仕込みに最適な麹を造り分けているところもあります。このように、麹の種類や使い方を工夫することで、日本酒の風味や味わいは大きく変化し、多様な個性が生まれるのです。まさに、麹は日本酒造りの要と言えるでしょう。