
酒造りの邪魔者?異種穀粒のお話
日本酒の原料となるお米は、雑味がなく、澄んだ味わいの酒を生み出すために、厳選されたものを使用します。しかし、収穫されたお米の中には、時に異物である異種穀粒が混入していることがあります。異種穀粒とは、本来日本酒造りには不要な、お米以外の穀物の粒のことです。具体的には、籾殻がついたままの籾や、麦、ひえなどが挙げられます。一見すると小さな問題に思えるかもしれませんが、これらの異種穀粒は、日本酒の品質に大きな影響を与える可能性があるため、取り除くことが非常に重要です。異種穀粒が日本酒造りに悪影響を与える理由はいくつかあります。まず、異種穀粒は、独特の風味や香りを持つため、日本酒本来の繊細な味わいを損なう可能性があります。また、異種穀粒の中には、雑菌が付着している場合もあり、酒質の劣化や腐敗の原因となることもあります。さらに、異種穀粒は精米機の故障を招くこともあり、円滑な酒造りの妨げとなる可能性も懸念されます。こうした問題を避けるために、日本酒造りでは、異種穀粒の除去に細心の注意が払われています。農家では、収穫後、選別機などを使って丁寧に異種穀粒を取り除く作業を行います。また、酒蔵でも、精米工程で異種穀粒を徹底的に除去するなど、二重三重のチェック体制を敷いています。精米の段階では、比重や大きさの違いを利用した選別機が用いられ、異種穀粒を高精度で除去していきます。異種穀粒の混入率が高いと、それだけ精米の手間や時間がかかり、コストも上昇します。そのため、高品質な日本酒を造るためには、原料であるお米の品質管理、そして異種穀粒の混入を防ぐための努力が欠かせないと言えるでしょう。私たち消費者も、日本酒の原料や製造過程に関心を持つことで、日本酒の奥深さをより一層理解し、味わいを深く楽しむことができるはずです。