発酵管理

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日本酒

B曲線:醪管理の指標

酒造りは、蒸した米と麹と水を混ぜ合わせた醪(もろみ)の管理が肝心です。醪は、いわばお酒の素となるものです。この醪を適切に管理することで、目指すお酒の風味や味わいを作り出すことができます。醪の状態を見極めるために、様々な方法が用いられますが、その中でも「B曲線」は特に重要な指標となります。B曲線とは、醪の発酵が進むにつれて変化するボーメ度(比重)を、時間の経過とともにグラフに描いたものです。ボーメ度は、液体の濃度を示す尺度であり、醪の場合は糖の濃度を反映しています。発酵が進むと、酵母が糖を分解してアルコールと炭酸ガスを生成するため、糖の濃度は下がり、ボーメ度も下がっていきます。このボーメ度の変化を記録し、グラフ化したものがB曲線です。B曲線の形を見ることで、発酵の速度や状態を視覚的に把握することができます。例えば、B曲線が急激に下がっている場合は、発酵が活発に進んでいることを示しています。逆に、B曲線の変化が緩やかであれば、発酵がゆっくりと進んでいる、あるいは停滞していることを意味します。また、B曲線の最終的な値は、お酒の完成度や味わいに大きく影響します。B曲線は、酒造りの現場で、的確な判断を下すための重要な情報源となります。B曲線の形状を見ながら、温度管理や仕込みの調整など、適切な処置を行うことで、目指すお酒の品質を確保することができます。経験豊富な酒造りの職人たちは、長年の経験と勘に加え、B曲線を活用することで、高品質なお酒を安定して生産しています。B曲線は、伝統的な酒造りの技術と科学的な管理手法を結びつける、酒造りには欠かせない重要なツールと言えるでしょう。