白乾児

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奥深き中国酒の世界:白酒

白酒とは、中国を代表する蒸留酒です。原料には、コーリャン、モチ米、ウルチ米、小麦、トウモロコシといった穀物が用いられ、中国独特の麹である「曲」を使って作られます。この「曲」は、麦や米などの穀物に麹菌を繁殖させたもので、白酒造りには欠かせないものです。多様な種類の曲があり、これが白酒の多様な風味を生み出す一因となっています。仕込み方法は、原料を蒸したり煮たりした後、この「曲」と混ぜて発酵させ、その後蒸留するという流れです。その名の通り、白酒は無色透明であることが一般的です。しかし、原料や製法、産地によって風味や香りは千差万別で、まさに十人十色のお酒と言えます。例えば、コーリャンを原料としたものは、力強い風味と芳醇な香りが特徴です。一方、米を原料としたものは、比較的まろやかな口当たりで、フルーティーな香りが楽しめます。小麦を原料としたものは、軽やかな味わいで、すっきりとした後味が特徴です。このように、原料によって味わいが大きく異なるため、様々な種類を試してみるのも白酒の楽しみ方のひとつです。白酒はかつて、アルコール度数60度以上のものが珍しくありませんでした。しかし、近年では50度以下のものも増え、飲みやすさも向上しています。度数の高い白酒は、ストレートで飲むと非常に強い刺激を感じますが、ロックや水割り、炭酸割りなどで楽しむこともできます。また、中華料理との相性も抜群で、特に油っこい料理や辛い料理と合わせると、料理の味を引き立て、口の中をさっぱりとさせてくれます。このように、白酒は奥深い味わいの世界を持つお酒です。様々な種類があり、それぞれに異なる風味や香りを楽しむことができます。また、飲み方も様々で、自分の好みに合わせて楽しむことができます。初心者の方は、まずは度数の低いものから試してみるのがおすすめです。そして、徐々に度数の高いものに挑戦していくことで、白酒の奥深さをより一層味わうことができるでしょう。
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白乾児:華北の魂の酒

高粱の恵みを受けて生まれた蒸留酒、白乾児は、中国北部、特に華北地方の食文化を語る上で欠かせない存在です。華北地方は乾燥した厳しい気候風土で知られていますが、この地で力強く育つ作物こそが高粱です。他の穀物が育ちにくい環境でもしっかりと根を張り、実をつける高粱は、人々にとって貴重な食糧であり、生活の支えとなってきました。この高粱を原料として生まれた白乾児は、まさに大地の恵みそのものを体現するかのようです。高粱を蒸して麹菌を加え、発酵、蒸留という工程を経て作られる白乾児は、原料である高粱由来の独特の甘みと芳醇な香りが特徴です。口に含むとまず高粱本来の甘みが広がり、その後を追うように力強い香りが鼻腔を抜けていきます。この香りは、高粱が厳しい環境の中で育つ中で培われた力強さを感じさせる、滋味深いものです。そして、白乾児のもう一つの特徴は、その高いアルコール度数です。一般的に50度から60度と高く、一口飲めば体が内側から温まるのを感じます。この力強い味わいは、厳しい寒さの中で暮らす人々にとって、体を温め、活力を与える大切な役割を果たしてきたことでしょう。白乾児は、古くから人々の生活に深く根付いてきました。冠婚葬祭などの祝い事には欠かせないお酒として振る舞われ、また、一日の仕事の疲れを癒す晩酌としても愛飲されてきました。人々は白乾児を酌み交わしながら喜びを分かち合い、明日への活力を養ってきたのです。華北地方の風土と人々の暮らしの中で育まれてきた白乾児は、まさにその土地の魂を宿したお酒と言えるでしょう。