
等外米とは?日本酒との意外な関係
『等外米』とは、収穫されたお米のうち、国の検査基準に満たなかったお米のことです。お米の検査は『農産物検査法』という法律に基づいて行われ、お米の品質を等級で分類しています。よく耳にする『一等米』や『二等米』といった等級のお米は、この検査基準をクリアしたものです。しかし、基準を満たさないお米が出てしまうのも事実です。形が不揃いだったり、粒が割れていたり、色が悪かったりといった理由で、検査基準を満たせないのです。このようなお米は『等外米』に分類され、一般的には『屑米(くずまい)』や『砕米(さいまい)』などと呼ばれています。等外米は、一等米や二等米のように国が買い上げる対象にはなりません。そのため、市場に出回ることも少なく、価格も安価に設定されていることが多いです。しかし、だからといって等外米は食べられないわけではありません。精米の過程で出た小さな欠け米や、収穫時に多少色が変わってしまったお米なども含まれるため、味や栄養価が大きく劣るわけではないのです。むしろ、用途によっては一等米や二等米と変わらない価値を持つ場合もあります。特に日本酒造りにおいては、等外米は重要な役割を担っています。日本酒の原料となる米は、蒸した後に麹菌や酵母を加えて発酵させます。このとき、粒が大きい一等米だと中心部まで均一に蒸すのが難しく、良質な麹や醪(もろみ)を作るのが困難になります。一方、等外米は粒が小さいため均一に蒸しやすく、また、精米の際に削り落とす部分が少ないため、雑味のないすっきりとした味わいの日本酒に仕上がるのです。このように、等外米は食卓に並ぶことは少ないかもしれませんが、私たちの食生活を支える上で、なくてはならない存在といえるでしょう。