粳米

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日本酒

日本酒と米:粳米の重要性

お酒造りは、古くから日本で親しまれてきた技であり、その出来栄えを左右する大切な要素がいくつかあります。中でも原料となるお米は、お酒の味わいを決める上で欠かせないものです。普段私たちが口にするお米とは違い、お酒造りに適したお米は「酒造好適米」と呼ばれ、幾つかの種類があります。酒造好適米の中でも、広く使われているのがうるち米です。うるち米は、私たちが毎日食べているご飯と同じ種類ですが、お酒造りに使う場合は、お米の性質がお酒の風味や香りに大きく影響します。粒の大きさ、タンパク質の含有量、そして心白と呼ばれる中心部分の大きさなど、様々な要素が関わってきます。特に心白は、お酒のもととなるでんぷんが豊富に含まれているため、大きな心白を持つお米は、良質なお酒を造る上で大変重要です。お酒を造る蔵では、それぞれの酒造好適米の特徴を良く理解し、造りたいお酒の種類に合わせて最適なお米を選びます。例えば、華やかな香りを目指す場合は、特定の香気成分を多く含むお米を選びますし、ふくよかな味わいを求めるなら、でんぷん質が豊富なお米を選びます。また、同じ種類のお米でも、産地や栽培方法によって品質が変わるため、蔵元は常に様々な産地のお米を吟味し、その年の気候条件なども考慮しながら、最良のお米を厳選しています。このように、美味しいお酒を造るためには、まず良質なお米を選ぶことから始まります。お米の品質は、お酒の質に直結するため、蔵元は米作りからこだわり、農家と協力してお米作りに取り組む場合もあります。まさに、お酒造りは米作りから始まるといっても過言ではありません。そして、厳選されたお米を丁寧に扱い、伝統の技で醸すことで、初めて芳醇な香りと深い味わいを堪能できる、極上のお酒が生まれるのです。
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もちもちの秘密、アミロペクチン

毎日の食事に欠かせないごはん。その独特の粘りは、一体どこから生まれるのでしょうか。その秘密は、アミロペクチンという物質にあります。アミロペクチンは、私たちの活動の源となる糖分の一種です。この糖分は、数珠つなぎに長くつながり、さらに枝分かれした複雑な構造をしています。まるで植物の根のように、四方八方に広がるこの構造こそが、ごはんの粘りのもととなっているのです。アミロペクチンは、穀物に含まれるでんぷんという成分の中に存在します。でんぷんは、アミロペクチンとアミロースという二つの成分からできています。このうち、アミロペクチンの量が多いほど、ごはんの粘り気は強くなります。私たちが普段食べているうるち米には、でんぷん全体の約八割がアミロペクチンです。一方、もち米には、ほとんど全てがアミロペクチンでできています。そのため、もち米はうるち米よりはるかに粘り気が強く、お餅やおこわなど、独特の歯ごたえを持つ食べ物に使われています。アミロペクチンの粘りは、水を加えて熱することで現れます。熱せられたアミロペクチンは、複雑な構造の隙間に水分を取り込み、大きく膨らみます。この現象を糊化(こか)といいます。糊化によって、ごはんは粘りを持ち、もち米は独特の食感を持つようになるのです。さらに、アミロペクチンは体内で素早く消化吸収され、活動のエネルギーに変わります。そのため、効率の良いエネルギー源として、私たちの生活を支えているのです。